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近年、AI技術の進歩により注目を集めているAIエージェントは、従来のAIシステムとは一線を画す革新的な技術です。単純な質問応答だけではなく、自律的に判断し複数のタスクを実行する能力により、企業の業務効率化や生産性向上に大きな可能性をもたらしています。
本記事では、AIエージェントの概念と仕組み、生成AIやRPAとの違いについて紹介し、AIエージェントのタイプ別特徴や事前に知っておくべき課題も解説します。
AIエージェントとは?自律的にタスクを実行するAI
AIエージェントは、単一の指示に応答するだけの生成AIとは異なり、明確な指示がなくても目標達成に向けて複数のタスクを段階的に実行する能力を持ちます。AIエージェントの基本的な定義や注目される社会的背景、具体的な仕組みについて解説します。
AIエージェントと生成AIの関係性については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
AIエージェントの基本的な定義
AIエージェントの基本的な定義は、与えられた目標に対し、ユーザの代わりに自律的に計画・実行し、状況に適応して複雑なタスクを完了させるシステムです。AIエージェントの特徴は、推論・計画・記憶の3つの核となる能力を備えている点にあります。
AIエージェントは単に与えられた指示に従うだけでなく、状況に応じて独自に意思決定を行い、種類によっては経験から学習し、変化する環境に適応する能力も備えています。また、時間の経過とともに蓄積される情報を活用して継続的に性能を向上させ、プロセスやトランザクション処理の効率化に貢献することも特徴です。※1
AIエージェントが注目される社会的背景
AIエージェントが注目される要因として、3つの社会的背景が挙げられます。
- 国内の労働人口減少
- DX推進の加速
- 生成AI技術の進展
国内の労働人口減少により、企業は限られたリソースで持続的成長を実現しなければなりません。従来の定型業務だけでなく、コア業務まで効率化・自動化できるAIエージェントは、労働人口減少の課題への有効な解決策として期待されています。
また、多くの企業が競争力維持のためデジタル変革を進める中、AIエージェントは業務プロセスの自動化を実現する役割を担います。さらに、注目される決定的な要因は、生成AI技術のブレークスルーです。
2022年のChatGPTリリースを機に企業のAI活用が本格化し、総務省の調査では日本企業の4割以上が生成AIの活用方針を固めています。※2生成AIの驚異的な性能が社会に広く認知されたことで、その能力をさらに拡張し、自律的にタスクをこなすAIエージェントへの関心が急速に高まっているのが現状です。
AIエージェントの仕組みを4つのステップで解説
AIエージェントがタスクを実行する思考プロセスは次の通りです。
- 環境認識
- 判断
- 行動
- フィードバックと適応
環境認識では、物理的なセンサーやAPIなどのツールを使って現在の状況を把握します。お掃除ロボットを例にとると、カメラやセンサーで部屋の間取りや障害物、汚れの位置を検知する段階です。
次に判断では、収集したデータを分析し、目標達成に向けた計画を立てます。お掃除ロボットが「どの順序で掃除するか」「障害物をどう回避するか」を決定するプロセスです。
行動では実際にタスクを実行します。お掃除ロボットであれば計画に基づいて移動しながら清掃を行います。
最後にフィードバックと適応では、サイクルを継続することで、実行結果を保持するメモリの更新や計画の見直しにより振る舞いを改善します。お掃除ロボットの例では、これまでの行動結果から、より効率的な掃除ルートを学習し、複雑な環境にも適応していきます。
AIエージェントと生成AIやRPAとの違いは?
AI技術の分野では、AIエージェントや生成AI、RPA(Robotic Process Automation)といった複数の概念が混同されがちですが、それぞれは異なる目的と機能を持つ技術です。具体的な違いは次の通りです。
| 項目 | AIエージェント | 生成AI | RPA | |
|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | 自律的なタスクの実 行、目標達成 |
コンテンツの生成 | 定型業務の自動化 | |
| 自律性 | 高い(状況を認識し、 自ら判断・行動) |
限定的(指示に基づいて生成) | 限定的(指示に基づ いて生成) |
低い(事前に定義され たルール通りに実行) |
| 判断能力 | あり(複雑な状況で も判断可能) |
なし(確率的に最も らしい応答を生成) |
なし(ルールに基づい た単純な判断のみ) |
|
| 具体例 | 問い合わせ自動応答、 生産ライン最適化 |
文章作成、画像生成 | データ入力、ファイル 転送 |
AIエージェントは自律的な判断と行動が可能である点で、指示に基づいてコンテンツを生成する生成AIや、事前に定義されたルールにしたがって作業を実行するRPAとは根本的に性質が異なります。
目的と自律性の観点から見た生成AIとの違い、判断能力の有無によるRPAとの違いについて解説します。
目的と自律性が異なる生成AIとの違い
AIエージェントと生成AIは、どちらも高度なAI技術でありながら、動作原理において本質的な違いがあります。生成AIは、ユーザから与えられた指示に基づいて文章や画像をはじめとして、動画や音声などのコンテンツを生成することに特化しています。
現在ビジネスシーンでも広く活用されていますが、基本的にはユーザの入力があってはじめて反応する受動的なシステムといえます。一方、AIエージェントは目標達成のために複数のタスクを自律的に遂行する能動的なシステムです。
特定のアプリケーションやサービスに限定されることなく、必要に応じて様々なタスクを横断的に組み合わせて実行します。
生成AIが指示された内容を作り出す道具であるのに対し、AIエージェントは目標に向かって自ら考え行動するパートナーとしての役割を果たします。自律性の違いこそが、両者を分ける特徴です。
AIエージェントには大規模言語モデル(Large Language Models:以下、LLM)の生成AIが組み込まれているものもあり、生成AIを活用することで、より能動的な仕組みに進化したシステムといえます。
判断能力の有無が異なるRPAとの違い
AIエージェントとRPAの違いは、予期しない状況に対する判断能力の有無です。RPAは事前に定義された手順にしたがって処理を繰り返すシステムであり、決められたルールから逸脱することなく確実にタスクを実行します。しかし、入力ミスや画面変更といった予定外の事象が発生すると、定義外の挙動を検知した瞬間に停止します。
一方、AIエージェントは状況に応じて判断し選択する能力を持っていることが特徴です。想定外の問題が起きても結果から原因を推測し、新たな計画を立て直せます。
AIエージェントは実行ログから自己学習し品質向上を図れますが、判断となる根拠がブラックボックス化しやすい課題もあります。対してRPAはロジックが可視化されており透明性が高い反面、仕様変更のたびに人の手によるメンテナンスが必要です。
AIエージェントの代表的な5つのタイプと特徴
ここまで紹介してきたように、現在は生成AI(LLM)を取り入れたAIエージェントが注目されていますが、AIエージェントの考え方自体は昔からある枠組みで整理できます。代表的な5つのタイプとその特徴をまとめました。
| タイプ | 特徴 | 具体例 |
|---|---|---|
| 単純反射エージェント | 「現在の状況」のみを認識し、事前に定められたルールに基づいて即座に行動する。 | センサーが一定以上の温度を検知したら冷却装置をONにするエアコン。 |
| モデルベース反射エージェント | 内部に世界のモデル(状態)を持ち、「現在の状況」と「過去の状況」から見えない部分を推測して行動する。 | 過去の障害物の情報を記憶し、走行中に回避判断をする自動運転車。 |
| 目標ベースエージェント | ゴール(目標)が設定されており、その目標を達成するために最適な行動を逆算して選択する。 | ゴール地点までの最短経路を計算し、最適なルートを提示するカーナビゲーションシステム。 |
| 効用ベースエージェント | 目標を達成する複数の方法の中から、最も「効用(満足度)」が高くなる行動を選択する。 | 同じ目的地でも「時間優先」「料金優先」「快適さ優先」など、ユーザの好みに合わせてルートを変える乗り換え案内。 |
| 学習エージェント | 過去の経験から学習し、自身の行動や判断基準を改善していく。より良い成果を目指して進化する。 | 対局を重ねることで、より勝率の高い打ち筋を自ら学習していく囲碁AI。 |
このタイプに生成AIベースのAIエージェントを当てはめると、「目標ベースエージェント」+「学習エージェント」+「モデルベース反射エージェント」の複合タイプとなります。
それぞれの種類の特徴をより詳しく解説しますので、活用の際の参考にしてみてください。
ルールに基づいて即時判断する単純反射エージェント
単純反射エージェントは、AIエージェントの中で最も基本的な形態であり、事前に決められたルールに基づいて処理を実行するシステムです。ルールベースシステムとも呼ばれ、複雑な学習機能や高度な判断能力は持ちません。
動作原理はシンプルで、特定の条件や入力に対してあらかじめ定義された対応を即座に実行します。過去のデータから学習したり、状況に応じて柔軟に判断を変更したりすることはなく、あくまで設定されたルールの範囲内で確実に動作します。
代表例として挙げられるのが、特定のキーワードに対して自動的に返答するチャットボットです。ユーザが「営業時間」と入力すれば「平日9時から18時まで」と返答するといった、明確な対応関係が事前に設定されているシステムです。
内部モデルで状況を判断するモデルベース反射エージェント
モデルベース反射エージェントは、単純反射エージェントよりも高度な判断能力を持つAIエージェントです。現在の情報だけでなく過去のデータも活用して意思決定を行う点が特徴です。
直近の入力にのみ反応する単純反射エージェントとは異なり、内部モデルを構築することで過去の状態や予測情報を統合し、より情報に基づいた適応的な判断を実現します。得た情報を基に状態を更新し、実行するプロセスを通じて動的に変化する環境においてもリアルタイムに適応できる柔軟性を備えています。
内部モデルによる文脈認識機能により、単純な反射システムでは対応困難な複雑な状況にも対処可能です。
ゴールから逆算して行動する目標ベースエージェント
目標ベースエージェントは、設定された目標を達成するために最適な行動を選択するタイプのAIエージェントです。目標ベースエージェントの特徴は、現在の状態から将来の状態を予測し、目標となる理想的な状態と比較することで、その差を埋めるための最適解を導き出す点にあります。
ゴールから逆算して必要な行動プロセスを計画し、効率的に目標達成を目指すアプローチを取ります。代表的な応用例が、安全に目的地まで着くことを目的とした自動運転システムです。
車両は現在位置から目的地までの最短・最安全ルートを計算し、交通状況や道路条件を考慮しながら適切な運転行動を選択します。また、スマートグリッドでも電力需給の最適化を図るなど、様々な分野で目標達成型の自律的な判断システムとして活用されています。
成果の最大化を目指す効用ベースエージェント
効用ベースエージェントは、単に目標達成を目指すだけでなく、成果の最大化を追求するAIエージェントです。効用ベースエージェントの核となるのは、各状態や行動の優先度をユーティリティに基づいて評価し、アクションに適切な優先順位をつける知的な判断機能です。
目標ベースエージェントが、目標を達成できるかどうかの二元的な判断を行うのに対し、効用ベースエージェントは、どの方法が最も価値の高い結果をもたらすかを総合的に評価します。
目的地への移動において最短ルートや快適さ、ユーザの好み、費用対効果といった複数の要素を同時に考慮し、全体的な満足度を最大化する選択を行います。特に矛盾する複数の目標が存在する場合や、目標達成に不確実性がある状況において効果を発揮し、スピード・安全性・コストなどの相反する要素間で適切なトレードオフを考慮できることが特徴です。
経験から自己改善を行う学習エージェント
学習エージェントは、過去の経験から継続的に学習し、時間の経過とともにパフォーマンスを向上させる能力を持つAIエージェントです。与えられたタスクを繰り返し実行する中で自己改善を続け、最適なアクション選択を習得していく点がポイントです。
従来の固定的なルールベースシステムとは異なり、環境との相互作用を通じて蓄積されるデータを基に、より効果的な戦略や手法を自律的に発見・適用します。対戦型ゲームのAIプレイヤーなどが代表例で、膨大なプレイデータを学習することで、人間を上回る戦略を編み出すまでに成長します。
また、ECサイトのパーソナライズされたレコメンドシステムでも活用されており、ユーザの商品閲覧履歴や購買行動を継続的に追跡・学習することで、個人の嗜好により適合した提案を行います。
AIエージェントを導入する4つのメリット
AIエージェントを導入するメリットとして、次の4つの要素が挙げられます。
- 定型業務の自動化による生産性向上
- 24時間365日対応による顧客満足度の向上
- ヒューマンエラーの削減による業務品質の安定
- ビッグデータ分析による迅速な意思決定の支援
AIエージェントを導入するそれぞれのメリットを解説します。
定型業務の自動化による生産性向上
AIエージェント導入のメリットは、定型業務の自動化を通じた生産性向上にあります。従来のシステムが単純な作業の繰り返しを行うのに対し、AIエージェントは状況を判断し適切な対応を自律的に実行する能力を持ちます。
単純な作業を削減できるだけではなく、業務全体の最適化が実現可能です。特に注目すべき点は、タスクの優先順位をリアルタイムで判断し、適切なリソース配分を自動的に実施する機能です。
複数の業務が同時に発生した場合でも、重要度や緊急度を総合的に評価し、最も効率的な処理順序を決定します。さらに、AIエージェントが反復的なタスクを担当することで、人間の従業員はより創造性を必要とする戦略的業務に集中できます。
24時間365日対応による顧客満足度の向上
AIエージェント導入により実現される24時間365日対応は、顧客満足度の向上をもたらします。人間のオペレーターとは異なり、AIエージェントには休憩や睡眠が不要なため、曜日や時間帯に関係なく安定したサービス提供が可能です。
24時間365日対応は、グローバルにサービスを展開する企業にとっても重要な競争優位性となり得る特徴です。顧客が世界各地に分散している場合、居住地による時差の問題が常に発生しますが、多言語対応したサービスのAIエージェントであれば地理的制約や言語の制約を受けることなく、一貫したサポートを実現できます。
また、国内向けのサービスにおいても、深夜や休日といった従来は提供が困難だった時間帯にもサービスを提供することで、必要なときにサポートを受けられる安心感を顧客は得られ、企業への信頼度と満足度が向上します。
ヒューマンエラーの削減による業務品質の安定
AIエージェントの導入によるメリットの1つが、ヒューマンエラーの削減による業務品質の安定化です。人間が行う業務には、疲労や注意散漫、感情的な要因などによる判断ミスや作業ミスが避けられません。
一方で、AIエージェントは人的要因による誤りを大幅に軽減できます。特にAIエージェントは定型作業を得意とし、決められた作業を条件通りのプロセスで確実に実行する特性を持ちます。
事前に設計されたプログラムに誤りがなければ、作業中にミスを犯すリスクは人間と比べて低いため、一貫した品質での業務遂行が可能です。そのため、データ入力・計算処理・書類作成といった精度が重要な業務において、品質のばらつきが解消され、安定した成果物の提供が実現します。
結果として、顧客への信頼性向上、後工程での修正作業削減、全体的な業務効率の最適化など複合的な効果が期待できます。
ビッグデータ分析による迅速な意思決定の支援
AIエージェントの導入により、ビッグデータ分析を活用した迅速な意思決定の支援が実現します。人間では処理しきれない膨大なデータを瞬時に分析し、実用的な洞察を提供することで、従来よりも速く正確な判断が可能です。さらに、AIエージェントの真価は、分析結果に基づいて人手を介さず自律的に次の行動を起こせる点にあります。
特に金融分野のような、設定されたしきい値やパターンに基づいて市場変動やオペレーショナルリスクなど複数のリスク要因をリアルタイムでモニタリングし、潜在的な問題を早期に検知する場面で能力を発揮します。
また、需要予測においても過去の販売データや季節的な要因、経済指標、SNSでの言及など多角的なデータを同時に分析し、従来の予測手法と組み合わせることで予測精度を大幅に向上させます。
高度な分析能力と自律的な実行能力により、企業は市場変化への迅速な対応、在庫最適化、リスク管理の強化を実現でき、競争優位性の確立と収益性向上に直結する戦略的意思決定を行えることがメリットです。
AIエージェント導入前に知っておくべき課題
AIエージェントの導入は多くのメリットをもたらす一方で、企業が事前に理解し対策を講じるべき重要な課題も存在します。課題を軽視して導入を進めると、期待した効果を得られないばかりか、企業の信用失墜や法的リスクの発生につながりかねません。
AIエージェント活用のためには、導入前の段階で潜在的な問題を把握し、適切な対策を準備することが不可欠です。
AIが誤情報を生成するハルシネーションのリスク、機密情報や個人データのセキュリティ対策、導入と運用にかかるコストと専門人材の確保について解説します。
AIが誤情報を生成するハルシネーションのリスク
AIエージェントにはLLMが組み込まれています。生成AI(LLM)を組み込んだAIエージェントを導入する際の課題の1つが、ハルシネーションと呼ばれる誤情報生成のリスクです。ハルシネーションは、AIが確率論に基づいてテキストを生成する仕組み上、学習データにない情報や不正確な情報を、あたかも事実であるかのように自然な文章として出力してしまう現象です。
特に問題となるのは、AIが生成する回答が非常に自然で説得力があるため、人間が誤情報に気づきにくい点にあります。AIは与えられた学習データの範囲内でしか正確な判断ができないため、データが不足している分野や偏った情報が含まれている場合、必然的に不正確な出力が生成される可能性が高まります。
企業がAIエージェントを業務で活用する際は、顧客対応や重要な意思決定に関わる情報提供において誤った内容を伝えるリスクがあるため、最終的な出力を常に人間が検証する体制の構築が不可欠です。
機密情報や個人データのセキュリティ対策
AIエージェント導入において、機密情報や個人データのセキュリティ対策も課題の1つです。AIエージェントは業務効率化のため、顧客情報や財務データなど機密性の高い情報にアクセスするケースが多く、従来システムと比較してデータ漏えいのリスクが高まります。
また、不正ペイロードや攻撃コードを送信することで、AIエージェントの動作を操作し、機密データの窃取や不正アクセスを試みる攻撃手法も注意しなければなりません。さらに、AIエージェント自体が犯罪者に乗っ取られたり悪用されたりするリスクが存在します。
企業はセキュリティのリスクに対し、アクセス権限の厳格な管理や暗号化技術の導入、異常行動の監視システム構築など、多層的な対策を講じることが必要です。
導入と運用にかかるコストと専門人材の確保
AIエージェント導入における最大の課題が、高額なコスト負担と専門人材確保の困難さです。AIエージェントを適切に導入・運用するには、AIエンジニアやデータサイエンティストなど高度な専門スキルを持つ人材が必要ですが、これらの専門家は市場での需要が極めて高く、確保が非常に困難な状況にあります。
また、多くの企業が見落としがちなのが、導入後の継続的なコスト負担です。システムの安定稼働を維持するため、定期的なメンテナンス費用に加え、AIエージェントでは計画立案や推論処理のたびにAPIを頻繁に呼び出すため、通常の生成AI利用と比べて運用コストが高くなる傾向があります。
サービス化されたAIエージェントの多くは従量課金制を採用しており、利用量の増加に伴って費用も増大します。初期導入費用のみに注目しがちですが、運用・保守・利用量に応じた長期的なコストを事前に正確に試算し、適切な予算を確保することが重要です。
さらに、専門人材不足への対策として、社内での人材育成プログラムの構築や、外部コンサルタントも含めた様々なアプローチを検討する必要があります。
AIエージェントを用いて業務を効率化しよう
本記事では、AIエージェントの基本概念から具体的な導入メリット・課題まで幅広く解説しました。
単純反射エージェントから学習エージェントまで5つのタイプが存在し、それぞれ異なる特徴があります。導入により24時間365日対応や業務品質の安定化、ビッグデータ分析による迅速な意思決定支援などのメリットが得られる一方、ハルシネーションのリスクなど課題への対応も欠かせません。
労働人口減少やDX推進が加速する現在、AIエージェントは企業競争力を高める重要な戦略の1つとなっています。生成AIの応用も業務効率化を促す有力な施策です。
ラックでは、AIエージェントや生成AIを活用した業務効率化の支援やAI関連のサービスを多数提供しています。導入をご検討の際は、ぜひご相談ください。
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