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こんにちは。社内の情報システム部門を担当している青木です。
2026年6月10日(水)から12日(金)にかけて幕張メッセで「Interop Tokyo 2026」が開催されました。会場を支えるネットワーク「ShowNet」では、最新のネットワーク技術や機器が実環境で検証されています。
私は今回、ShowNetの構築・運用を担うShowNet Team Member(以下、STM)として参加しました。限られた期間で大規模なネットワークを構築し、開催期間中の安定運用を支える現場では、普段の業務とは異なる発見もありました。
本記事では、ShowNetの構築から運用、撤収までの活動を振り返りながら、現場で得られた学びや気づきを紹介します。
Interop Tokyoとは
Interop Tokyoは、1994年から日本で開催されている国内最大級のインターネットテクノロジーイベントです。2026年は6月10日から12日までの3日間にわたり開催され、同時併催イベントを含めた来場者数は14万3,312人にのぼりました。
「Interop」という名称は、Interoperability(相互接続性)に由来しています。異なるメーカーのネットワーク機器やサービスを実際に相互接続し、それらが期待どおりに動作するかを実環境で検証するという考え方がInteropの原点となっています。
会場ではネットワーク、クラウド、セキュリティ、AI、データセンターなど、さまざまな分野の最新技術や製品が展示されます。なかでも注目したいのが、これらの技術を実際につなぎ、会場を支えるネットワークとして動かしているShowNetです。展示されている技術を見るだけでなく、最新技術を組み合わせて1つのネットワークを作り上げる実践の場となっています。
ShowNetとは
ShowNetは、Interop Tokyoの会場全体を支える実稼働ネットワークです。来場者向けWi-Fiや出展社ブースへのインターネット接続など、実際に会場で利用されるネットワークサービスを提供するだけでなく、さまざまなメーカーから提供された最新のネットワーク機器やサービスを相互接続し、新しい技術を実環境で検証する巨大な実証ネットワークでもあります。
2026年のShowNetでは、約2,600の製品・サービスと、約800名のエンジニアによってネットワークが構築されました。さらに、ShowNetが目指すのは、目の前のネットワークを構築することだけではありません。最新のネットワーク機器や技術を組み合わせ、「2年後、3年後のネットワークの1つの姿」を示すコンセプトネットワークとしての役割も担っています。
2026年のShowNetのテーマは、「Engineering Everything Connected」でした。キャリア、データセンター、エンタープライズ、キャンパス、セキュリティ、AIなど、多岐にわたる領域をつなぐためのさまざまなチャレンジが行われました。ここからは、STMとして参加した私が、ShowNetの構築・運用・撤収に携わった活動を紹介します。
ShowNet Team Member(STM)とは
STMは、全国から一般公募で選出された社会人と学生で構成されるボランティアメンバーです。通信事業者やメーカー、SIer、研究機関、学生など、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まり、所属する会社や学校、普段扱っている技術領域を越えてShowNetの構築に取り組みます。普段なら接点のないエンジニアと一緒に仕事をし、知識や経験を共有できることもSTMの大きな魅力です。
STMは、ShowNetの設計・構築・運用をリードするNOCチームや、機器・サービスを提供するコントリビュータと協力しながら、実際のネットワークを作り上げていきます。参加方法は、事前検証期間の「HotStage」からの参加と、HotStageの終了後から参加する「Deploy」の2通りがあります。私は2025年に引き続きHotStageから参加し、2026年はこれまでの経験を活かしてSTMをリードする「STM-X」の一員としても活動しました。
STMで担当したこと
ShowNetは、幕張メッセの何もない会場にネットワークをゼロから構築します。機器を設置して接続するだけではなく、来場者や出展社が安定して利用できる状態まで作り込み、会期中の運用を支えます。そして、イベント終了後にはネットワークを解体し、会場を再びゼロに戻します。構築から運用、撤収まで、限られた期間ですべてをやりきるのがShowNetです。
STMでは3人で1つのチームを組み、機器の設置や配線といった物理作業から、ネットワーク機器の設定作業、動作確認などさまざまな作業を分担しながら進めていきました。普段の業務では経験しにくい作業にも携わりながら、メンバー同士で確認や相談を重ね、1つのネットワークを形にしていきます。
HotStage期間
HotStageは、ShowNetを事前に構築・検証する期間です。初日は、まだネットワーク機器すら十分に搭載されていないラックに棚板やケーブルガイド、パッチパネルを取り付けるところから始まりました。普段ネットワークを利用していると完成した機器構成や論理構成に目が向きがちですが、その前段には機器をラックに搭載し、ケーブルを1本ずつ配線するといった地道な作業があります。
Lifeスイッチの構築
HotStageの前半で、特に注力したのが、Lifeスイッチの構築です。Lifeとは、STMやNOCチームメンバー、コントリビュータが構築作業中に利用する管理・作業用のネットワークです。2026年はSTM-XのLife担当として、各STMがスムーズに構築を進められるよう、事前に構築方法や進め方を確認し、当日は作業内容の説明やサポートを行いました。
普段扱い慣れているメーカーであればすぐに分かる設定でも、初めて触れる機器ではマニュアルを確認しながら進めなければなりません。思うように設定が反映されなかったり、事前に想定していたコマンドが存在しなかったりする場面もありましたが、各チームと協力しながら無事にLifeネットワークを立ち上げることができました。
バックボーンやPODの構築
HotStageの中盤から、ShowNetの中核となるバックボーンルーターやスイッチの構築作業、機器間のケーブリング、PODの構築など、より本格的なネットワーク構築に入っていきました。
POD(Pedestal Operational Domain)とは、各展示ホールに展開され、出展社や来場者へShowNetのネットワークサービスを届けるための接続拠点となるラックです。PODには、出展社向けのスイッチや配線などが収容されます。HotStageでは、各ホールにPODを展開する前にPODを1か所に集めて仮構築し、機器設定や配線、疎通確認を行いました。
Deploy
Deployは、HotStageで構築・検証したネットワークを、実際の展示エリア・ホールへ展開するフェーズです。HotStageで構築したPODは、そのままの状態で移動させるわけではなく、HotStageの最終日に一度PODの配線を解体し、Deploy期間に幕張メッセの各展示ホールへ運び、再び組み上げる必要があります。
私は、ホール7を担当するPODマスターとして、PODの展開をリードしました。PODマスターは、各PODを現地へ展開する際に、物理作業を正しく復元し、展開作業をリードする役割です。
また、Deploy期間からは、新たなSTMも合流します。そのため、これまでHotStageで構築してきたネットワークの構成やShowNetにおける作業の進め方、連携方法などを共有し、スムーズに作業に入れるようサポートしました。場所が変わり、メンバーも入れ替わる中で同じネットワークを正確に再現するため、技術だけでなくチームとして動く力も求められます。
POD展開後は、実際に構築したネットワークが出展社からインターネットへ正常に疎通できるか「ドロップチェック」を行います。ドロップチェックは、出展社向けのポートから正常に通信できるかを確認するテストです。実際の利用者と同じように接続し、「IPアドレスを正しく取得できるか」、「想定したネットワークへ接続できるか」、「DNSによる名前解決はできるか」、「インターネットへ接続できるか」などを確認します。また、ドロップチェックは一度確認して終わりではなく、出展社が安定してネットワークを利用できる状態まで仕上げていく必要があります。
会期の運用
会期中は、ShowNetで構築してきたネットワークが、実際に来場者や出展社に利用されます。STMは、ShowNetサービスカウンター対応やトラブルチケット対応、ShowNetウォーキングツアーサポートなどを中心に、会期中のネットワーク運用を支える活動を行いました。
ShowNetサービスカウンターでは、出展社や来場者から寄せられるネットワークに関する問い合わせを受け付けます。その場で解決できないものについては、発生しているトラブル内容を整理した上でチケットシステムに登録し、他のSTMやNOCチームメンバーと連携しながらトラブル対応を進めました。
また、一般来場者向けに提供されているWi-Fiについても、会場内を定期的に巡回し、接続状況や通信品質に問題がないかを確認しました。大規模なイベントを支えるネットワークでは、障害が起きてから対応するだけでなく、異常の兆候を早期に見つけることも重要です。構築したネットワークを使える状態に保ち続けることも、STMの大切な役割です。
撤収作業
会期が終わると、ShowNetの撤収作業が始まります。機器やケーブルを1つずつ取り外し、資材を整理し、提供いただいた機器の返却準備を進めます。そして、約2週間をかけて構築してきたネットワークを再びゼロの状態へ戻していきます。
数時間前まで来場者や出展社の通信を支えていたネットワークが、次々と姿を消していくのもShowNetならではの光景です。構築、運用、撤収までを終えて、ShowNetという1つのプロジェクトが完了します。
STMを通じて得られた学び
今回のSTMでは、普段触れる機会の少ない機器や技術に加え、ネットワークを構築・運用する上で大切な考え方を学びました。
製品ではなくネットワークの仕組みを理解する
ShowNetでは、さまざまなメーカーの製品を扱います。そのため、「このコマンドを投入すれば動く」という製品固有の知識だけでは対応できません。何を実現するための設定なのか、その設定によってどのような通信が行われるのか、といったネットワークそのものの仕組みを理解していることが重要です。
普段の業務でも特定の製品の操作方法だけでなく、プロトコルや技術の原理を理解することの大切さを改めて感じることができました。
自分が作業するだけでなくチーム全体を見る
STM-XやPODマスターとして活動する中で、自分の作業を進めるだけでなく、限られた時間の中で周囲が動きやすい状態を作ることの重要性を学びました。作業内容や注意点を事前に共有し、進捗を意識しながら優先順位を考えて動くことで、チーム全体の作業を円滑に進められます。
特に難しいタスクやトラブルに直面すると、どうしても目の前の作業に集中してしまいがちです。しかし、そのような状況だからこそ、一度全体を見渡し、作業が滞っているところはないか、困っているメンバーはいないか、時間内に完了するために優先すべきことは何かを考えることが重要だと感じました。多くのメンバーが限られた時間の中で並行して作業するShowNetだからこそ、自分の担当だけを見るのではなく、時間を意識しながらチーム全体を見て行動すること、そして周囲が動きやすい状態を作ることの大切さを実感しました。
おわりに
今回、STMとしてInterop Tokyo 2026に参加し、大規模ネットワークの構築・運用に携わるというとても貴重な経験を得ることができました。普段の社内情報システム業務では触れる機会の少ない製品や技術に触れられたことはもちろん、多様なバックグラウンドを持つエンジニアと協力し、1つのネットワークを作り上げたことは大きな学びとなりました。
ShowNetでは、初めて触れる機器や技術、限られた時間の中での作業など、さまざまな制約の中でタスクをこなしていく必要があります。それらに1つずつ向き合い、他のSTMと協力して解決していく過程そのものが、STMでの醍醐味だと感じました。今回得た経験を、今後の業務におけるネットワークの設計・構築・運用、そしてチームでプロジェクトを進めていく場面にも生かしていきたいと思います。
最後になりますが、ShowNetの構築・運用をリードしてくださったNOCチームの皆さま、コントリビュータの皆さま、そして一緒に活動したSTMの皆さまに、この場を借りて感謝申し上げます。本記事が、STMに興味を持っている方や、新たな技術への挑戦を考えている方の一助となれば幸いです。
プロフィール
青木 春磨
文系総合職から技術職へ転身し、現在は社内情報システム部門でネットワークインフラの設計・構築・運用を担当しています。
「知っている」で満足せず、とにかく手を動かして学ぶことをモットーにしています。
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