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「夏向けのシャツを探している」
「通勤でも休日でも使えるデザインがいい」
このようにAIへ話しかけるだけで自分に合った商品を提案してもらえる、そんな購買体験がECサイトでも現実になりつつあります。
生成AIの進化により、AIエージェントが商品探索や購買行動を支援する「エージェンティックコマース」という新たな潮流が注目を集めています。従来のECでは、ユーザー自身が検索条件を入力して商品を探すのが一般的でした。これに対してAIエージェントは、自然な対話からユーザーの好みや要望をくみ取り、商品選びそのものをサポートします。その一例が、SalesforceのAgentforce Commerce(旧Commerce Cloud)で提供されている対話型の購買支援機能「Guided Shopping for B2C Storefronts(B2C Commerceのガイド付きショッピング)」です。ユーザーとの自然な対話から要望を理解し、最適な商品を提案することで、従来の検索中心だったEC体験を大きく変えようとしています。
本記事では、Guided Shopping for B2C Storefrontsの仕組みや特徴を解説するとともに、実際に社内環境へ組み込んで検証した結果やデモ動画を交えながら、AIエージェントがもたらす新しい購買体験を探ります。
検索から対話へ変わるオンラインショッピング
生成AIの登場によって、商品の探し方にも変化が生まれています。本章では、従来のECサイトが抱える課題と、Guided Shopping for B2C Storefrontsが実現する購買体験について紹介します。
従来のECサイトが抱える課題
ECサイトでは、検索窓にキーワードを入力したり、カテゴリや価格などの条件で絞り込んだりして商品を探すことが一般的です。欲しい商品が明確な場合には効率的な方法ですが、「夏らしい服が欲しい」、「友人へのプレゼントを探している」といった漠然とした要望では、適切な検索キーワードを思いつかず、商品探しに時間がかかることがあります。また、商品数が多いサイトでは検索結果も膨大になり、条件を変えて検索を繰り返すうちに、結局どれを選べばいいのか分からないという状態にもなりがちです。
Guided Shopping for B2C Storefrontsが実現する新しい購買体験
Guided Shopping for B2C Storefrontsでは、検索キーワードを入力する代わりにAIとの自然な対話から商品を探します。
例えば、以下のような要望を入力します。
- 夏向けのシャツを探している
- 予算は1万円以内
- 通勤で使いたい
すると、AIが必要に応じて追加の質問を行いながら条件を整理し、適した商品を提案します。実店舗で店員へ相談しながら買い物をするような感覚で商品を探せるため、検索だけでは見つけにくかった商品との出会いも期待できます。こうした対話型ショッピングが実際にどのような仕組みで実現されているのか、次章で詳しく見ていきます。
Guided Shopping for B2C Storefrontsとは
Guided Shopping for B2C Storefrontsは、SalesforceのAgentforce Commerceで提供される、AIエージェントを活用したショッピング体験支援機能です。
従来のECサイトでは、買い物客が自ら検索条件を設定し、商品を探す必要がありました。一方、Guided Shopping for B2C Storefrontsでは、こうした探す作業をAIエージェントがサポートします。買い物客との対話から要望をくみ取り、条件を整理しながら商品を提案することで、よりスムーズな商品選びを実現します。
この対話を担うのが、「Shopper Agent for B2C Commerce」です。商品探索から購入検討までをサポートし、買い物客一人ひとりのニーズに応じたショッピング体験を提供します。
提供される主な機能
Guided Shopping for B2C Storefrontsでは、商品検索だけではなく、購入を検討するまでの一連の流れを支援します。
例えば、これらのことが可能です。
- 買い物客の要望に応じた商品検索
- 条件に合った商品の提案
- 商品仕様に関する質問への回答
- 関連商品の提案
買い物客との会話から条件を整理して商品を提案するため、検索キーワードを考える負担を減らせる点が特徴です。
従来のチャットボットとの違い
チャット形式で利用する点では従来のチャットボットと似ていますが、役割は大きく異なります。
従来のチャットボットは、FAQへの回答や問い合わせ対応の効率化を目的とするものが中心でした。一方、Guided Shopping for B2C Storefrontsは、買い物客との対話を通じてニーズを把握し、商品探索から購入検討までを支援することを目的としています。利用者の要望に応じて追加の質問を行いながら条件を整理し、最適な商品を提案することで問い合わせ対応にとどまらず、購買体験そのものを支援する点が大きな特徴です。概要を理解したところで、実際の利用イメージを見ていきましょう。
Guided Shopping for B2C Storefrontsを実際に試してみた
ここからは、社内のB2C Commerce環境で実際にGuided Shopping for B2C Storefrontsを試した内容を紹介します。今回の環境構築では、Salesforceの公式ヘルプ「B2C Commerceのガイド付きショッピング」※を参考に、Guided Shopping for B2C Storefrontsを社内環境へ組み込みました。本記事では構築方法の解説ではなく、実際に組み込んでみた利用体験や検証結果に焦点を当てて説明します。
※ Shopper Agent for B2C Commerce | Salesforce Help
今回の検証内容
今回は、実際の買い物客の利用を想定し、以下のような商品検索からカート操作まで一連の購買体験を検証しました。
- 「夏向けのシャツを探している」と相談
- 商品詳細の確認
- 色、サイズ、数量を選択し、カートに追加
- カートに追加した商品のサイズを変更
- 注文確認画面に遷移
実際のやり取りの様子は、以下の動画をご覧ください。
実際に触って感じたこと
実際に試してみて最も印象的だったのは、「商品を検索する」というよりも「店員に相談する」感覚に近かったことです。最初は曖昧な要望だけを伝え、会話を重ねながら予算や利用シーン、デザインなどの条件を追加していくと、AIがそれらを踏まえて候補を提案してくれます。
また、途中で条件を変更したり追加したりしても、会話の流れを維持したまま提案を続けられる点は、従来の検索にはない使い勝手だと感じました。特に、買い物客が検索キーワードを考える必要がない点は大きな特徴です。欲しい商品が明確に決まっている場合は検索の方が効率的な場面もありますが、「何となくこんな商品が欲しい」という段階でも会話を通じて条件を整理しながら商品を探せるため、商品選びに迷っている買い物客や、初めてサイトを利用する買い物客にとって有効な手段になりそうです。
おわりに
今回の検証で感じたのは、Guided Shopping for B2C Storefrontsは従来の検索機能を置き換えるものではなく、商品探索の新たな選択肢として活用される可能性が高いということです。
購入したい商品が決まっている場合は検索の方が早いケースもあります。一方で、「何を選べばよいか分からない」、「相談しながら決めたい」といった場面では、対話型ショッピングが大きな価値を発揮すると感じました。これまでのECでは、買い物客が探し方を考える必要がありました。AIエージェントとの対話によって、これからは欲しいものを伝えるだけで、商品探しを始められるようになるかもしれません。
生成AIの進化は、商品検索の方法だけでなくECそのものの体験を変えようとしています。Guided Shopping for B2C Storefrontsは、その変化を象徴する機能の一つと言えるでしょう。今後、AIエージェントが商品探索から購入までのプロセスにどこまで関わるようになるのか、引き続き注目していきたいと思います。
ラックではAgentforce Commerceを活用したECサイト構築・運用支援に加え、AIエージェントを活用した新たな顧客体験の検証や導入・活用に関するご相談も承っています。ECにおけるAI活用やGuided Shopping for B2C Storefrontsにご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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