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頭を悩ませるOracle Databaseのコスト課題、ラックが考える3つの対応策

金融事業部の上原です。
IT活用に欠かせないものといえば「データ」です。「顧客情報の蓄積」「ビッグデータ収集」「動向分析」「セキュリティログの収集と分析」など、ITの世界においてはデータを集めて有効活用することの重要性がますます注目を浴びています。

情報システムにおいてデータを取り扱うための仕組みとして、誰もが思いつくものはDBMS(データベースマネジメントシステム)と呼ばれるデータ管理のためのミドルウェアでしょう。そして、大規模DBMSとして浸透している製品と言えば、米オラクル社のOracle Databaseであることは説明するまでもありません。

1979年に発表されたOracle Databaseは、その後のリリースを重ねる中で、信頼性の高さ、管理機能の充実さ、耐障害性の高さなどから、多くの企業で大規模データベースシステムとして採用され、いまもなお使い続けられています。ITインフラ担当者の多くが、障害発生時でもダウンタイムなく機能提供をし続けられる数少ないデータベースの仕組みとして、Oracle Database Real Application Clusters(Oracle RAC)を採用しているシステムを見聞きしたしたことがあるでしょう。

しかしながら、高機能であるがために、Oracle Database製品のライセンス費用、保守サポート料金の負担の重さが長年の悩みであるというユーザーが多いのも事実です。2020年末にOracle Database 11gの全サポートが終了しており、12.2.0.1も2022年3月末で限定サポートが終了する予定であることから、この先のプランに頭を悩ませている方もいるでしょう。

この記事では、「Oracle Databaseコスト課題」に関して、ラックとしての複数のソリューションを紹介します。

1. パブリッククラウド(AWSなど)上のDBaaSへの移行

Oracle Databaseのライセンス費用に悩む場合、最初に思い浮かぶのはOracle Database以外のDBMSに移行するというプランです。このプランの採用が、近年のパブリッククラウドの普及とともに加速しています。

ご存じのとおり、ITシステムは従来の物理ハードウェアの活用から仮想化基盤へとシフトし、さらにパブリッククラウドベースへと変わってきています。パブリッククラウドを活用することにより、機器調達に要する時間の短縮、クラウドベンダーがすさまじいスピードでリリースする数々の便利なIaaS/PaaS/SaaSサービスの活用、システム稼働時間や処理回数に応じたコストコントロール、EUC部門によるシステム開発の促進などが可能になっています。

パブリッククラウドを用いたシステムでは、当然そのシステムが扱うデータの保管先もパブリッククラウド上になります。クラウドベンダーは複数のDBMS機能をDBaaS(DataBase as a Service)として提供しており、サービスの利用開始手続きを踏むだけでDBMSが利用できます。

DBaaSではオンプレミスシステムで必要だったデータベースサーバーのハードウェア・OS・DBMS製品のメンテナンス作業・パッチ適用作業・障害対応などが不要になります。

データのバックアップについてもDBMS製品ごとに提供される機能の組み合わせによるバックアップジョブの作り込みなどではなく、DBaaSとして提供されるバックアップやスナップショットなどの機能の登録により実現できます。オンプレミス時代にたびたび遭遇した、データ保管先であるストレージ装置の容量オーバーを気にすることなく、柔軟にデータの保管容量を増やせます。

DBaaSの採用により、DBMS機能の構築や保守にかかる費用を、大幅に削減できることになります。主要クラウドベンダーであるAWSでは、Amazon RDSの名称でDBaaSが提供されており、PostgreSQL、MySQL、MariaDB、Oracle Database、SQL Serverがエンジンとして機能します。また、Amazon AuroraとしてMySQL および PostgreSQLとの互換性をもち、よりメンテナンスの自動化を実現したDBaaSが提供されています。

既存システムの更改やクラウド化のタイミングでAuroraへの移行、それに伴うOracleデータベースからMySQLもしくはPostgreSQLへの変更を行うことにより、DBMSに関する作業の軽減を図り、システムの柔軟性も実現するケースも多いです。

AWSではDBMSの変更に際し、AWS Database Migration ServiceやAWS Schema Conversion Toolといった移行用サービスを提供しています。

ラックは、長年のシステムインテグレーションの経験とノウハウを生かし、近年AWS、Azureなどのパブリッククラウドを用いたシステムの構築・開発・保守サービスを提供しています。

オンプレミスからパブリッククラウドへのシステム移行や、パブリッククラウド上での新規システムの構築など、多くのプロジェクトの初期検討から構築、保守までを一気通貫で提供できます。

パブリッククラウドへのDBMS移行によるコスト軽減に際しても、ラックのクラウドインテグレーションサービスを活用いただけます。

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2. Oracle Cloud Infrastructureへの移行

パブリッククラウドのDBaaSの例としてAWSを紹介しましたが、せっかくOracle Databaseを使っているならば、Oracle社が提供するOracle Cloud Infrastructure(OCI)を活用する方法もあります。

OCIは、Oracle社が提供するパブリッククラウドであり、Oracle Databaseの製品ライセンスはOracle社の方針によりOCI上での稼働に最適化されています。

AWS、Azureなど他社のパブリッククラウドと比べるとPaaS、SaaSサービスの提供数や提供機能は少なく、IaaSとOracle Databaseのクラウド提供という印象が強いですが、OCIの活用によりOracle Databaseライセンスに関わる費用を適正化することが可能です。

1.や2.のケースにおいて他社DBMSへ移行する際にもアプリケーション変更を抑えることが可能ですが、アプリケーションの変更をほぼ行わない方式でコスト適正化を行う方法としては、Oracle Databaseを使用し続けるがOCIへシステムを移行するという方法が採用できます。

重要度が高く、24時間365日のシステム稼働が求められるシステムでは、Oracle RACを選択するケースも多いと思います。一方で、Oracle RACに期待される「信頼性」や「パフォーマンス」は高く、従来、パブリッククラウドでの提供が難しいと考えられてきました。Webサーバやアプリケーションサーバなどのフロントエンドはクラウドに移行できても、Oracle RACはオンプレミス環境での稼働を余儀なくされるケースが多くあります。OCIは、Oracle RACが稼働できる唯一のパブリッククラウドサービスであり、Oracle RACを利用する顧客が抱える課題に対して、解決策を提供できます。

既存ライセンスの持ち込み(BYOL:Bring Your Own License)

企業が保有しているオンプレミスのライセンスをOracleが提供する様々なPaaSサービスに適用でき、現行ライセンス費用に対してコストを抑えてPaaS環境を利用できます。加えて、100日間の並行稼働が認められており、100日以下で移行するケースにおいては、タームライセンス(期間限定の使用権ライセンス)費用が不要です。

※ オンプレミス環境のOracleサポート費用はBYOL後も継続して支払う必要があります。

Oracle Autonomous Database Cloudによる運用自動化

Oracle RAC環境をクラウドへ移行すると、オンプレミス環境下で必要となるデータセンター設備、スペースを削減することはもちろん、Oracle Autonomous Database Cloudと呼ばれるPaaSサービスを選択することで、システム運用(バックアップ、監視、パッチ適用等)を自動化でき、運用コストの削減につながります。

ラックは従来Oracle社の各種製品を用いたシステムインテグレーションを行っており、Oracle RAC、Oracle Dataguardなどを使用した高可用性システムを実現してまいりました。近年、OCIにも対応すべく継続的にスキル習得や資格取得に取り組みながら、クラウドにおけるOracleも扱える体制を確立しています。

クラウド環境でもやっぱりOracleを使い続けたいというお客様の声へこれまで同様満足いただけるよう、ラックはこの先もOracle Databaseを用いたシステムの提供も続けます。

3. EDB Postgres(他DBMS)への移行

せっかくデータベースに関わるコストの見直しを検討するならば、コストの見直しだけではなくデータベースの活用方法を改めて考えてみるという選択肢もあります。このケースにおいて特にラックが注目するのは、IBM社のData&AIエリアに属するEDB Postgres Enterprise and Standard with IBMです。

IBM社は以前よりOracle Databaseのコスト課題に対して同社のDBMSラインナップであるIBM Db2を掲げており、2009年DB2 9.7からはOracle Databaseからの移行先としてIBM Db2がPL/SQLサポートを実装、アプリケーションに大幅な変更を加えることなくDBMSを移行することが可能にもなりました。(Db2製品内のDB2_COMPATIBILITY_VECTOR レジストリ変数の設定により互換モードを使用可能。)

そのIBM社が近年掲げるのは、データを有効活用するためのプラットフォームとして、大規模データの蓄積と人工知能(Cognitive Computing)による分析や活用をパッケージングするData&AIです。データの蓄積と分析機能はまとめてプラットフォーム化することで、企業はEUC部門を中心にデータをどう活用するかの観点に注力することが可能になり、DX推進につながるという考え方に沿って提供されています。

ラックでは、Oracle DatabaseをEDB Postgresへ移行する際には、あわせて仮想データパイプライン(VDP)機能を用いることを薦めています。これにより既存のデータベースがEDB Postgresにより「変化」し、VDPにより「進化」し、抜本的にコスト削減が可能です。

移行による「変化」

多くのお客様では、本番業務を提供している本番環境のほかに、アプリケーションを開発するための複数の業務開発環境や、基盤メンテナンスのための基盤開発環境、災害対策のための災対環境など多数の環境を保持していることでしょう。全環境をEDB Postgresに「変化」させることで、抜本的なライセンスコスト削減を達成できます。

既存DBMSからEDB Postgresへ移行する際にも、事前のアセスメントや自動変換ツール、EDB Migration Portalなどを用いることにより、低リスク・低コストの移行を実現でき安心です。

移行による「進化」

企業戦略に基づく業務機能開発のサイクルを実現するために、複数のアプリケーション開発を並行して行っている企業も多いことでしょう。複数の開発環境を立ち上げる際、従来はデータベース配置用ストレージ環境を構築したうえで既存データベースをバックアップ・リストアするなど、環境準備に多くの時間や費用がかかっています。

EDB Postgresとともに使用できる仮想データパイプライン(VDP)機能では、既存のデータベースの好きなタイミングのデータを新しい環境に仮想的に提供できます。新しい環境を作るごとに多数のバックアップを取得・管理したり、大量のストレージを準備したりする必要はなく、環境準備や移行、テストなどの効率化を図ることが可能なデータベース環境へと進化します。

ラックは、日々重要性を増している「これからの企業戦略におけるデータ活用競争力」をタイムリーかつ柔軟に、効果的に企業へと提供するためにData&AIテクノロジーチームを立ち上げました。企業におけるデータ活用競争力を生み出すためには、情報資源をクラス別にわけて対策を行っていくことが必要です。

ラックのData&AIテクノロジーチームは、対策クラス別に「データ活用ソリューション」「データ分析ソリューション」「データ加工ソリューション」「データ蓄積ソリューション」「データ基盤ソリューション」を推進しています。Data&AIテクノロジーチームは、ラックの長年のIBMソフトウェアを活用したシステムインテグレーション実績を基にして、EDB Postgresを中長期的にお客様のデータ蓄積を実現する「データ蓄積ソリューション」と位置づけ企業に提供します。

※ EDB Postgresの提供は現在終了しております。

Oracle DatabaseからのEDB Postgresへの移行により、コスト課題に対応するとともに、企業のデータ活用を推進するためのプラットフォームを実装します。

※ 参考:『コストのお悩み解決します!!データベースライセンスコスト削減Webセミナー』

終わりに

多くの企業で採用され、稼働し続けていながらも、その保守サポート費用に悩みも多いOracle Database。ラックは、この長期にわたる悩みを解消するための複数の解を提供するとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けたデータの蓄積と活用に向けて、企画から実装・運用までを支援します。

今回紹介したOracle Databaseに関する3つの対応プランや、データの蓄積・活用・可視化、さらにはDX推進にあたっての開発など、様々なサービスを提供していますので、ぜひともご相談ください。

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