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2013年から始まったラックの社会貢献事業のひとつであり、ITに関する突出した技術力やアイデアを持つ若者の才能の芽を発掘・支援する「ITスーパーエンジニア・サポートプログラム"すごうで"」。2025年度は笹子悠月さん(東京都、採択当時高校2年)のテキストプログラミングを楽しく学べるストラテジーゲームの開発を採択しました。
2022年度に改訂された学習指導要領に基づいて、高校の必修科目として「情報Ⅰ」が新設され、プログラミング学習が必修となりました。さらに、2025年度からは情報Ⅰで学ぶ内容が出題される「情報」が共通テストの科目として加わりました。ところが現場では、特にテキストプログラミングにおいて「授業だけでは腹落ちしない」「学習のモチベーションが続かない」という声が少なくありません。
これらの課題に着目した笹子さんは、学習体験そのものを設計し直しました。テキストプログラミング学習にゲームの要素を掛け合わせ、コマンド入力で敵と戦い、ステージ攻略の中でコードの意味が自然に身につくストラテジーゲームを開発することにしたのです。初心者でも手を動かし続けられる導線を意識し、楽しさと理解を両立させる設計としました。この構想を「すごうで 2025」に応募し、審査の結果、支援対象者として採択されました。
それでは、ラックが笹子さんをどのように支援したのかをお伝えします。
ストラテジーゲーム開発への挑戦
すごうで 2025では、「Unity」をプラットフォームとして開発を進めました。過去にUnityでアプリゲームを製作した経験がある笹子さんですが、ストラテジーゲームの開発は初めての挑戦でした。メンターを務めたラックの技術者から、論文の紹介や定期ミーティングでのアドバイス、プログラムのレビューや合同作業などのサポートを受けながら開発を進めていきました。
最初に取り組んだことはゲームの肝となる具体的な要件定義、そしてスピード感ある展開などゲームならではの遊びの要素と、テキストプログラミングの学習という要素のバランスを模索することでした。「初心者でもゲームを通じてテキストプログラミングを楽しく学んでほしい」というコンセプトのもと、対象年齢やプレイ時間、「情報Ⅰ」の学習範囲の中でゲームに実装していく構文などを決めていきました。その過程で、コマンドが書かれたブロックを組み合わせる形式か、コマンドを記載したカードをドラッグ&ペーストしていく形式どちらがよいか悩みました。メンターから「両方試してから決めればよい」という助言を受け、試行錯誤しながら実装に入っていきます。
開発はオンライン中心で進めつつ、7月末にはメンターとの対面での共同作業の時間を設け、ゲーム全体の基盤となる設計検討や、シナリオのブレインストーミングなどを行いました。遊びと学びを分断しないための骨格が、このタイミングで固まっていきます。
高校3年生である笹子さんは、8月以降は受験準備に集中するために一旦開発のスピードをスローダウンした時期となりました。そして、秋以降、怒涛の勢いで開発が進んでいきました。
言語はPythonを採用
当初は事前知識を必要としない独自の言語も開発して、ゲーム内で利用することを想定していました。しかし、言語とゲームの開発を同時に進めるのは時間的なコストが大きく、開発スピードも品質も落としかねません。そこでメンターの助言を受け、笹子さん一番の目標であるゲームの開発に集中する判断を下し、言語は既存の「Python」を採用しました。
Pythonは文法がシンプルで可読性が高く、初めてプログラミングに触れる人でも理解しやすいとされています。また、近年注目を集めているデータサイエンスや人工知能(AI)分野でも広く活用されており、情報Ⅰの多くの教科書でも扱われています。Pythonをゲームの中で学ぶテキストプログラミングの言語として位置付けたことで、模索していた「遊びと学習」のバランスという点においても方向性が定まりました。
開発に試行錯誤する笹子さんでしたが、持ち前のリサーチ力を発揮し、メンターからのサポートも受けながら効率的に開発を進めていきました。プロトタイプが見えてきたところで、ゲーム名を「MagiCode」と定め、ゲーム展開やバトルフェーズの推移といったゲーム仕様の熟考も行い、バトルフェーズの画面推移や戦闘部分のシステムを実装していきます。初心者が感覚的にゲームを進められるようにUIや導線のブラッシュアップ、キャラクターデザインやエフェクトデザインなど様々な工程をこつこつと重ね、着実に進めていきました。
成果発表会
2026年を迎えると、いよいよ1年間の成果をまとめるフェーズに入りました。2月にはほぼ完成しており、テストプレイで得たフィードバックをゲームに反映しながらブラッシュアップを進めていきました。開発当初からゲームの完成までぶれずに「初心者でもゲームを通じてテキストプログラミングを楽しく学んでもらいたい」というコンセプトを貫き、成果発表会の直前にも「この機能を増やしたい!」とさらなる改良に意欲を見せ、ぎりぎりまでより良いものを届けたいと試行錯誤する姿に、メンターや事務局ともども感嘆の声があがりました。
成果発表会では、完成したストラテジーゲーム「MagiCode」の体験会も開催し、自分が開発したゲームを目の前で楽しそうに体験している参加者の姿を見て、とても嬉しそうな姿が印象的でした。そして参加者からは、ゲームの設計からキャラクターデザイン、シナリオ制作など全てを1人で手掛けた彼の1年間の努力への評価と今後の発展に期待する声が聞かれました。
おわりに
日々の学業と並行しながら、前向きに粘り強く試行錯誤する彼の姿に、メンターを含む支援チーム全員が大いに刺激を受けた1年間でした。すごうで 2025のプロジェクトはこれで一区切りとなりますが、彼の情熱と可能性に終わりはありません。アイデアがどんどん溢れ出ていた彼がこれから「MagiCode」をどのように育てていくのか、"すごうで"で得た経験も糧にしながら、まだ誰も足を踏み入れたことのない世界に挑み、成長を続ける姿を楽しみに見守っていきたいと思います。
笹子さんの活動や、そこから得たことについては、ご本人に寄稿していただいた「"すごうで 2025" レポート」でぜひご覧ください。
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