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生徒だけでなく、保護者・地域の方も一緒に学べる情報リテラシー講座を山口県の中学校で支援

こんにちは。コグニティブセキュリティ研究グループです。

2025年6月に、私たちは山口県光市にある大和中学校で情報リテラシーカードゲーム「リテらっこ」を活用した情報リテラシー講座を実施しました。インターネットやSNSが日常の一部となった時代において、生徒たちが情報との向き合い方を考える機会を提供したい──そんな先生方の思いから始まった取り組みでした。

そして1年後となる2026年6月、急速に生成AIが身近な存在になる中、「今、生徒たちに何を伝え・考えてほしいか」を学校の先生方と一緒に考え、引き続き「リテらっこ」を活用した講座を実施しました。前回との違いは生徒だけではなく保護者も加わったことです。子どもたちを守るのは家庭や地域の大人の関与も大事な要素であるという先生方の思いとともに、大和中学校とともに歩む2年目の取り組みをご紹介します。

保護者・地域の方と一緒に学ぶ情報リテラシー

大和中学校で実施する情報リテラシー講座では、学校からの要望を踏まえながら、現在の中学生を取り巻く具体的な課題をテーマとして選び、まずは講話として全校生徒110名が聴講しました。今年度は、生徒だけでなく保護者や地域の方も一緒に聴講する機会が設けられました。

講座で取り扱ったテーマ

  • デマ・フェイクニュース(偽・誤情報)
  • 誹謗中傷
  • 不適切投稿
  • 生成AIの不適切利用
  • 高額課金

特に生成AIについては、便利な活用方法だけでなく、不適切な利用によって生じるリスクや課題についても紹介しました。AIが身近な存在になりつつある今、情報をそのまま受け取るのではなく、「本当に正しいのか」「信頼できるのか」を考え、確認する力がますます重要になっています。

情報リテラシー講座の様子:山口県光市立大和中学校

インプットだけで終わらせない

この取り組みで私たちが大切にしたのは、「聞いて終わり」にしないことです。

全校生徒向けの講話で情報リテラシーについて学んだ後は、昨年と同じく3年生を対象に「リテらっこ」で、学びを定着させるための演習を実施しました。学級それぞれで班対抗とし、各5名程度の班に保護者や地域の方が1~2名参加しました。インターネットのトラブルを切り抜ける行動を班のメンバーで考え、議論し、手札の中から一番良いと思う行動(アクション)を発表することで、事前の座学で学んだ情報リテラシーの理解をより深める構成です。

今回は保護者や地域の方が参加したことで、いつもの仲間だけの会話とは違い、最初は意見がなかなか出なかったチームも、ゲームが進むにつれて発言が多くなり、それぞれの考えを整理しながら結論を導き出せるようになっていました。生徒たちの理解力の高さや、互いの立場や意見を尊重しながら考える姿勢に、私たちも大きな可能性を感じました。

2025年度から進めている「情報リテラシー講座」と「リテらっこ」を組み合わせた取り組みは、情報リテラシーを主体的・対話的に学べる教材として、大和中学校だけでなく小学校から高校、大学に至るまで、教育現場を中心に多方面から関心を寄せていただいています。講座によるインプットで知識を得た後、その知識を使って自分ならどう考え、どう行動するかをチームで話し合う。この「学ぶ」と「考える」を組み合わせた流れが特徴です。

「リテらっこ」演習の様子:山口県光市立大和中学校

今回の主役は生徒だけではない

2026年度の特筆すべき試みは、生徒だけでなく保護者や地域の方々が一緒になって学ぶ形式にしたことです。参加した保護者や地域の方は約10名。生徒たちと同じ目線で情報リテラシーについて考えてくれました。学校で学ぶ内容を家庭や地域でも共有できることは、大きな価値があります。この試みには先生方の熱い思いがありました。

インターネット上のトラブルは、学校だけで解決できるものではありません。家庭での声掛けや相談、地域の見守りなど、多くの大人が関わることで初めて防げる問題もあります。生徒と大人がテーブルを囲み、一緒に考え、悩み、意見を出し合う姿は、「地域全体で子どもたちを支える情報リテラシー教育」の実現性を感じさせるものでした。また、参加した先生方からも、「生徒たちが楽しみながら学んでいた」「大人も一緒になって考えられた」という声が聞かれました。

「リテらっこ」演習の様子:山口県光市立大和中学校

継続だからこそ見えた変化

2025年から続いて講座を受講した生徒からは、「世界中でインターネットを使う人が増えていることに驚いた」といった声もあり、単なる知識の習得にとどまらず、視野の広がりや社会とのつながりを実感する機会にもなりました。

情報リテラシー教育は、一度実施すれば終わりというものではありません。昨年に学んだ内容が土台となり、新たな知識や視点を積み重ねることで、理解はさらに深まっていきます。こうした生徒の反応からも、継続的な学びの重要性をあらためて実感しました。また、私たちは研究的な視点で、情報リテラシー講座が具体的にどのような学びにつながったのか、どのような効果があったのかを検証し、今後の活動の改善や発展につなげていきたいと考えています。

2026年度の講座の特徴

  • 学びを深める「インプット×アウトプット」
    講座で学び、「リテらっこ」で考え・話し合うことで、知識を自分ごととして捉える機会を創出
  • 学校・家庭・地域の共創
    保護者・地域住民参加型にし、多様な立場から情報リテラシーを考える場を構築
  • 世代を超えた対話
    「リテらっこ」では各チームに大人が加わり、生徒とともに意見を交わしながら学びを深化
  • 継続だからこそ見える成長
    生徒からは昨年度以上に多様な視点からの意見が挙がるなど、情報との向き合い方に変化

今回の取り組みとして実施できたことは、単発にとどまらない学校を軸とした連携活動の一歩といえます。こうした取り組みは、学校だけで完結するものではなく、家庭や地域と連携することで、より大きな学びにつながることが期待できます。AI時代において求められるのは、正しい情報を見極め、自ら考え、対話しながら判断する力です。学校・家庭・地域が一体となってその力を育んでいく取り組みを、今後も広げていきます。

山口県光市立大和中学校校舎

今後について

大和中学校では、2026年度内に小学校と中学校合同での情報リテラシー教育を予定しています。2025年度そして2026年度と継続した取り組みを通じて生まれたつながりや学びを次の世代へ広げ、地域全体で情報リテラシーを育む取り組みに発展させていく計画です。

大和中学校はAIリテラシーを含む情報リテラシー教育に積極的に取り組んでおり、光市にとどまらず山口県内でもAIや情報モラル教育への関心は高まっていることから、学校・自治体・地域が連携して取り組む機会は今後ますます増えていくでしょう。私たちも大和中学校との連携を大切にしながら、山口県をはじめとする地域との協力の輪を広げ、より多くの人に学びの機会を届けていきたいと思います。そして将来的には、学校や地域が主体となって情報リテラシー教育を継続できる「自走型」の取り組みにつながるように進めていきたいと考えています。

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