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最新の金融犯罪対策を考える、「金融犯罪対策カンファレンス 2026」開催レポート

近年、金融犯罪の被害が深刻化しており、インターネットバンキング不正送金、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺といった金融機関の利用者を標的とした詐欺は過去最悪の水準にあります。

こうした状況を受け、金融犯罪対策センター(Financial Crime Control Center:以下、FC3)では、「金融犯罪をどうにかして食い止めたい」という思いから、最新の金融犯罪の動向とその対策について考える「金融犯罪対策カンファレンス 2026」を開催しました。オンラインの開催ながら、申し込みは600名超と高い関心を集めました。本記事では、カンファレンス当日の様子をレポートします。

イベント概要

イベント全体の概要を紹介します。

金融犯罪対策カンファレンス2026 イベントバナー
時間 タイトル 講演者
13:00 - 13:05 開会の挨拶 村山 敏一(ラック 代表取締役社長)
13:05 - 13:45 基調講演:特殊詐欺等対策の方向性 齋藤 豊 氏(金融庁 総合政策局 リスク分析総括課 金融犯罪対策室長)
13:45 - 14:15 講演①:サイバー空間の脅威と金融犯罪~産学官の連携の現場から~ 櫻澤 健一 氏(一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター 業務執行理事)
14:15 - 14:45 講演②:証券口座乗っとり被害・対策の状況について 松本 隆 氏(ディー・エヌ・エー IT本部セキュリティ部 サイバーアナリスト)
14:55 - 15:25 講演③:パスキーのメリットと考慮点 北尾 辰也 氏(国土交通省 最高情報セキュリティアドバイザー、金融ISAC会員)
15:25 - 15:55 講演④:auじぶん銀行の金融犯罪対策 光末 史郎 氏(auじぶん銀行 執行役員CCO兼CRO兼リスク管理本部長)
15:55 - 16:25 講演⑤:特殊詐欺・IB不正送金の最先端対策「AI不正取引検知システム」(AIゼロフラウド)について 小森 美武(ラック 金融犯罪対策センター エバンジェリスト)
16:25 - 16:30 閉会の挨拶 樋口 健(ラック 代表取締役 副社長・COO・CXO)

講演内容のダイジェスト

いずれの講演にも多くの視聴が集まり、金融犯罪対策への関心の高さが強く印象づけられる盛況なカンファレンスとなりました。本章では、各講演のポイントをコンパクトにご紹介します。

基調講演:特殊詐欺等対策の方向性

齋藤 豊 氏(金融庁 総合政策局 リスク分析総括課 金融犯罪対策室長)

開会のあいさつに続き、基調講演で金融庁 総合政策局リスク分析総括課 金融犯罪対策室長の齋藤氏が登壇しました。齋藤氏は、官の立場から金融機関利用者を狙った詐欺・犯罪対策を主導しています。

講演では、「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」を軸に、金融庁ひいては政府が注力している詐欺・犯罪対策の取り組みについて解説しました。特に、警察・金融庁・銀行が連携して詐欺被害を防ぐための新たな構想は実務への波及を強く意識させ、会場の関心を大きく集める印象的な内容でした。

齋藤 豊 氏

講演①:サイバー空間の脅威と金融犯罪~産学官の連携の現場から~

櫻澤 健一 氏(一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター 業務執行理事)

櫻澤氏は、日本サイバー犯罪対策センター(以下、JC3)の常務執行理事です。前職では警察庁の警備局長としてサイバー犯罪やテロ対策に従事し、現在もJC3にてサイバー空間における金融犯罪の防止に尽力しています。

講演では、近年増加するフィッシング、マルウェア、ランサムウェア等によるサイバー金融犯罪の被害状況について解説しました。そのうえで、これらの犯罪に対するJC3の官民連携の取り組みや成果、さらに金融機関に求められる対策の方向性を示しました。

櫻澤 健一 氏

講演②:証券口座乗っとり被害・対策の状況について

松本 隆 氏(ディー・エヌ・エー IT本部セキュリティ部 サイバーアナリスト)

松本氏は、株式会社ディー・エヌ・エーでサイバーアナリストとして勤務する傍ら、金融庁や厚生労働省におけるセキュリティ業務にも従事し、現在はFC3の金融犯罪対策アドバイザーも務めています。

講演では、2025年に大きな社会的影響を及ぼした「証券口座の乗っ取り被害」をテーマに、実際の被害状況や犯罪者のダークウェブ上での動き、社会的反応まで幅広く解説しました。その内容を踏まえ、金融機関・関連事業者に今後求められる対策の方向性についても踏み込んだ示唆を示しました。

松本 隆 氏

講演③:パスキーのメリットと考慮点

北尾 辰也 氏(国土交通省 最高情報セキュリティアドバイザー、金融ISAC会員)

北尾氏は、国土交通省の最高情報セキュリティアドバイザーとして活動する一方、金融機関でサイバーセキュリティ業務を主導していた経験を活かし、FC3のシニアコンサルタントも務めています。

講演では、近年注目されるフィッシング対策としての「FIDO」について、基礎から丁寧に解説しました。また、FIDOにおいて考慮すべき潜在的な突破手法や攻撃の可能性、実運用で見落としがちな留意点にも具体的に言及しました。加えて、同講演ではカンファレンス当日にラックが発表した、日本初の「金融犯罪キルチェーン(FC3マトリクス)」も紹介し、金融犯罪の各段階と犯罪者の手口を体系的に整理した枠組みとして、今後の対策高度化に向けた重要な指針が提示されました。

北尾 辰也 氏

講演④:auじぶん銀行の金融犯罪対策

光末 史郎 氏(auじぶん銀行 執行役員CCO兼CRO兼リスク管理本部長)

光末氏は、auじぶん銀行のCCO兼CRO兼リスク管理本部長として、金融犯罪対策に取り組んでいます。

講演では、実際に同行で発生した金融犯罪の被害事例をもとに、対策として導入したAI不正取引検知システム(株式会社ラックのAIゼロフラウド)の運用状況について紹介しました。現場で日々どのように不正検知が行われ、どのような判断・対応につながっているのか、リアルな実態が伝わる内容でした。また、JC3をはじめとした外部との連携にも言及し、官民連携の重要性を改めて印象づける講演となりました。

光末 史郎 氏

講演⑤:特殊詐欺・IB不正送金の最先端対策「AI不正取引検知システム」(AIゼロフラウド)について

小森 美武(ラック 金融犯罪対策センター エバンジェリスト)

講演の最後を飾ったのは、ラックの金融犯罪対策センターでエバンジェリストを務める小森です。

講演では、近年ますます高度化・巧妙化する金融犯罪・サイバー犯罪の手口や、今後の日本の動向を読み解く材料として、米国における金融犯罪被害の実態と対策動向を報告しました。さらに、それらに対抗するための最先端の対策として、AI不正取引検知システム(AIゼロフラウド)を活用したリアルタイム検知の有用性や、犯罪者の行動を時系列に整理した日本初の金融犯罪キルチェーン(FC3マトリクス)を活用した多角的な対策についても説明しました。

小森 美武

おわりに

近年、金融犯罪の手口は多様化・高度化が進み、官民双方にとって対策の重要性が一層高まっています。今回のカンファレンスでは、官公庁、警察、金融機関、業界団体の各専門家が登壇し、最新の被害状況や犯罪者の動向、そして実効性のある対策まで幅広い知見が共有されました。AIを活用した不正取引検知、FIDOなどの認証技術、キルチェーンに基づく体系的な分析といった具体的な対策の方向性も多く示され、参加者からは非常に高い関心が寄せられました。

FC3は金融犯罪の抑止に向けて、今後もタイムリーな情報発信と実務に資する知見提供に一層取り組んでまいります。

また、本カンファレンスのアーカイブ配信を2026年5月29日までの期間限定で公開しています。
当日視聴できなかった方や、内容にご興味のある方は、ぜひご覧ください。

2026年2月開催
<金融犯罪対策カンファレンス>
アーカイブ動画

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