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可愛いだけじゃなかった。Kiroと5か月間過ごして見えてきたこと

キャラクターの可愛さや、VSCodeベースで入りやすいUIに惹かれて触り始めたKiroが、気づけば毎日隣にいる相棒になっていました。Kiroは、AWSが提供するAI IDE(統合開発環境)です。2025年7月にプレビュー版が公開され、この夏で1周年を迎えました。Kiroのバースデーについて、以下AWSブログでご確認いただけます。

Kiro のバースデーウィークへようこそ | Amazon Web Services ブログ

実際に使ってみて最初に驚いたのは、相談しながらそのまま手を動かせることです。質問に答えるだけで終わらず、コード修正やコマンド実行までつなげられるので、思考を止めることなく開発を進められます。

ただ、5か月間Kiroと過ごしてきて感じているのは、チャットが便利で終わるツールではないということです。SpecやHook、CLIまで活用して初めてKiroの本当の面白さや可能性が見えてきます。私自身もまだ試行錯誤の途中ですが、使うたびに新しい発見があります。

この記事では、Kiroと5か月向き合ってきた今だからこそ感じている魅力や、実際に助けられた場面を振り返りながら、これから挑戦したいことを振り返ります。Kiroを使い始めた方や、もう一歩踏み込んで活用したい方の参考になれば幸いです。

Kiroが相棒になった理由

私が所属するクラウドサービス部では、2026年2月からKiroの利用を開始しました。現在は15名のメンバーが、Kiro ProやKiro Pro+プランにて利用しています。

主に検証で利用しており、正直私は使いこなせているとは言えませんが、毎日Kiroを開くところから業務を始めています。

チーム内で利用が義務付けられていたわけでもなく、特別なルールがあったわけでもありません。「あ、これKiroに聞いたほうが早いな」を繰り返しているうちに、気づいたら定着していました。もちろん、すべてをKiroに任せているわけではありません。それでも、気軽に相談しながら作業を進められる心地よさは、一度慣れると手放せなくなりました。

ここからは、私が使い続ける中で感じたKiroの魅力を紹介します。

キャラクターが可愛い

まずは、Kiroの可愛さについて語らせてください。開発ツールの評価としては少し変わった切り口かもしれませんが、私が毎日Kiroを開いてしまう理由の一つです。

丸くてシンプルなお化けのようなキャラクターに、ちょこちょこ動くアニメーション。開発ツールという堅いイメージとはいい意味でギャップがあり、自然と親しみが湧きます。特に気に入っているのは、処理中や考え中のモーションです。AIが「今、一生懸命考えています」という様子が伝わってくるようで、処理を待つ時間さえ少し楽しく感じられます。

UIもVSCodeベースにしているため迷うことなく使い始められます。それでいて、アイコンやカラーリングにはほどよい遊び心があり、開発に集中できるシンプルさと、毎日使いたくなる親しみやすさをうまく両立していると感じています。もちろん、Kiroの価値は見た目だけではありません。それでも、毎日使いたいと思える体験を支えているのは、この親しみやすいデザインも大きな理由だと思っています。

ログイン画面で会えるKiro
ログイン画面で会えるKiro
開発中もKiroと一緒
開発中もKiroと一緒

仕事の悩みはチャットで相談

直近では、Kiroと一緒にCloudFormationのYAMLテンプレートを作成し、AWS環境の構築検証を進めました。これまでCloudFormation+CDK構成での実績はありましたが、YAMLテンプレートを一から書くのは今回が初めてです。何をどの粒度で分割するか、ディレクトリ構成をどうするか、どこまで共通化するかといった点に迷いがあり、最初から手を動かすより先に、Kiroに相談しながら整理する形で進めました。

このときは、VibeセッションとSteeringファイルを使いながら、以下を会話の中で切り分け、そのうえでテンプレートの叩き台を作ってもらいました。

  • どういう構成パターンが考えられるか
  • それぞれのメリット・デメリットは何か
  • 今回の検証にはどの構成が合いそうか

一番助かったのは、答えを出してくれることではなく、考え方を整理してくれることです。構成案を比較しながら検討できたおかげで、「まずはこの形で始めてみよう」と迷いなく実装に着手できました。また、ブラウザ型AIとの違いとして実感したのは、質問して終わりではなく、そのままコード修正やエラー調査につなげられることです。エラー内容を確認しながら修正方針を相談し、そのままコードを書き換えたり、検証用のコマンドを実行したりと、一連の作業を同じ画面で進められます。調査、修正、動作確認を行き来する流れが途切れず、開発のリズムを維持したまま作業できる点は、想像以上に快適でした。

さらに、Kiroはコードを書く場面だけでなく、箇条書きのメモを提出用の文章にまとめたり、比較表に整理したりといった日常的な作業でも活躍しています。自分でまとめるより見やすくなることも多く、日常的な補助だけでも十分頼りになると感じています。

Kiroをもっと使いこなすために

チャットで相談する使い方は、特に大きな迷いなく始めることができました。一方で、一緒に過ごす時間が長くなるほど感じているのは、チャットで相談するだけの付き合い方では、Kiroの本当の力をまだ引き出せていないということです。

SpecやHook、CLIといった機能に触れるうちに、Kiroの強みは質問に答えてくれることではなく、設計から実装、検証まで、開発の流れそのものに寄り添ってくれることにあるのだと実感しています。ここからは、Kiroをより深く活用するために、これから取り組んでみたいことを紹介します。

まだ引き出せていない、Kiroの本当の力

正直なところ、私はまだKiroの強みを十分に引き出せているとは言えません。Steeringファイルも、使ってみて便利さは感じているものの、まだ「なんとなく使っている」段階に近いです。コーディング規約やプロジェクト固有の前提をもっと整理して反映できるはずですが、何をどこまでルール化するのがよいのかは、まだ試行錯誤しています。

SpecやHook、CLIについても同様です。

  • どのタイミングで使うとKiroが一番力を発揮してくれるのか
  • 自分の業務のどこに組み込むと、自然に機能するのか
  • どこまでAIに任せて、どこから人が確認すべきなのか

こうした問いには、まだ自分なりの答えを見つけられていません。

今の私とKiroは、「迷ったら相談する」「叩き台を作ってもらう」「整理を手伝ってもらう」という付き合い方です。それだけでも十分に助けられていますが、これはKiroを便利なAIチャットとして活用している段階とも言えます。Kiroの本当の価値は、開発プロセスそのものに入り込み、人と一緒に考え、動き続けられることにあるはずです。

チームメンバーとKiroの関係を見て感じたこと

チーム内には、私よりもKiroと深い付き合い方をしているメンバーがいます。特に印象に残っているのは、Kiro CLIとTerraform importを組み合わせた検証事例です。KiroがAWSの現状を読み取り、既存リソースをTerraformコードとして自動生成するという一連の流れを、自然言語で指示するだけで実現していました。

チーム内でのナレッジ共有会で実演されたこの取り組みを見て感じたのは、Kiroを質問に答えてくれるAIとして使うのではなく、実作業の作業プロセスの中に組み込むことで、まったく違う価値が生まれるということです。開発の流れに自然に入り込み、一緒に作業を進める姿は、まさに相棒と呼ぶにふさわしいものでした。

詳細は以下のLAC WATCH記事でも紹介されています。

この事例を見て、自分とKiroの関係はまだ「困ったときに相談する」にとどまっていて、一緒に新しいことへ挑戦するパートナーとしては、まだ十分に活用できていないのだと気づきました。Kiroも1周年を迎えたことを機に、これまでのチャット中心の使い方から一歩踏み込み、SpecやCLIなどの機能を自分の検証作業に取り入れながら、Kiroの可能性をさらに引き出していきたいと思います。

Kiroの力をもっと引き出すために

今感じているのは、「便利だから使う」段階から、「どうすればKiroの力を最大限に引き出せるか」を考える段階に入ってきたということです。例えばCloudFormationテンプレートを作るとき、命名規則やタグのルールを毎回チャットで説明していることに気づきました。こうした前提条件をSteeringファイルに整理しておけば、毎回同じ説明を繰り返す必要がなくなり、最初から精度の高い出力が得られるはずです。

また、構成設計の場面では、「A案とB案どちらを採用するか」といった判断が発生します。今はその検討過程がチャット履歴に埋もれてしまい、後から振り返ることが難しい場面もあります。Specを活用すれば、設計の目的や検討事項、判断理由を構造的に残せるので、個人の作業効率化だけでなく、チームで知見を共有する基盤にもできるのではないかと考えています。CLIについても、テンプレートのLintチェックやスタック差分の確認など、検証のたびに手動で行っている定型作業を自然言語で流せるようになれば、再現性とスピードが変わるはずです。

Kiroの価値は、作業を一部代替してくれることだけではありません。自分の考え方や開発プロセスを理解してもらい、一緒に成長する環境を作れることにあるのだと思います。いきなりすべての機能を使いこなそうとするのではなく、まずは日々の業務の中で小さな改善を積み重ねながら、Kiroならではの可能性を少しずつ探っていきたいと思います。

おわりに

ビジュアルに惹かれて触り始めたKiroですが、今では日々の業務を支えてくれる存在になっています。構成を考えるとき、コードを書くとき、エラーを調べるとき、メモを整えるとき、さまざまな場面で「まずKiroに聞いてみよう」と思えるようになったこと自体が、自分にとっては大きな変化でした。

1周年を機に振り返ってみると、まだKiroの力を十分に引き出せているとは言えません。それでも、日々の業務の中で少しずつ付き合い方が変化していることを実感しています。これからは自分なりの活用パターンを少しずつ増やしながら、Kiroをより深く理解し、ツールの一つではなく開発パートナーとして一緒に成長していきたいと思います。

プロフィール

絹村 真由

絹村 真由
AWS環境の設計・構築・運用支援を担当し、社内AWS検証環境の運営にもメンバーの一人として携わっています。AWSに関する実践的な情報を発信していきたいです。

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