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ラックピープル | 

価値ある対話を引き出す1on1を社内で推進する秘訣

コーポレートコミュニケーション室で、企業ブランディングを担当している山本です。

ここ3~4年の間に、チームの育成やモチベーション向上のために実施される、1on1ミーティングへの取り組みを進める企業がかなり増えてきました。ラックも社員一人ひとりが働く目的を見つけ、成長していける企業カルチャーづくりに4年前から取り組んでいます。

1on1ミーティングを定期的に実施するとなると、社内からこのような声が上がることがあるのではないでしょうか。

「めったに話をしない相手と、何の話をすればいいのかわからない」
「業務が忙しすぎて1on1をする時間を作れない」
「とりあえず、形だけやっているように見せればいいや」

また、上司も部下も、もっとお互いのことを理解し合いたいと思っているのに、1対1で向き合うと、なぜかぎこちなくなって会話が進まなくなる。上手くいかない根本的な原因はいったいどこにあるのでしょう?

この記事では、そういったお悩み解決のヒントや、ラックの取り組みについて紹介します。

仕事の成功に結びついた、自分自身の1on1体験

私の専門分野は広報、企業ブランディングです。それにも関わらず、2023年2月からラックの人事戦略室と一緒に1on1講座を作り自ら講師を務めています。これは社員一人ひとりや自社を「価値のある人材・職場」であると感じてもらう、インナーブランディングの取り組みでもあるからです。

また、個人的に4年以上前から社外のビジネスコーチをつけて、3~4年先の成功イメージを作る1on1をしていました。そして、自分の目標やその先の目的がクリアになり、迷いや悩みが解消し、仕事の成果が面白いように出るようになった経験があります。

どんな種類・サイズの成功であっても成功のためには目標と期日を決めなくては、何も始まらない。悩み・問題の解消や「真の目的」を見つけるのに1on1対話は極めて効果的。

さらに、1年半前にはビジネスコーチや心理セラピーの資格を取得し、社内外の悩みを抱える人に1on1によるセッションを行ってきました。そんな良質な1on1体験があるため、1人でも多くの方に価値ある1on1をしてもらいたいという思いを持っています。

そもそも1on1が上手くいかない「根本的な原因」とは?

「1on1は部下の時間、上司は傾聴に徹しよう」、「心理的安全性が大事」と言われますが、具体的にはどのようにしたらできるのでしょうか。おそらく、良い1on1をした経験が無いと、どのようにしたらいいのか見当がつかないのではないかと考えています。

そして、1on1は「対話」であって、何かロジカルな結論を導き出す「議論」ではありません。

私たちは長年の社会人経験で、仕事上のコミュニケーションを議論という会議の形式でしてきました。対話となると、個人の技量に頼らざるを得なかったというのが実情です。なので、お互いに厚い信頼関係にある上司部下もいるし、そこまでの間柄になれていない上司部下もいるわけです。

本当の意味での対話を学ぶ機会が乏しく、議論のやり方で対話をしてしまっている点が、良い1on1を実施できない根本的な原因だと見ています。

議論と対話の違い

「議論」と「対話」の違い。議論の目的は最適な結論を出すこと。対話の目的は固定概念に捕らわれず、暗黙の前提や価値観を理解する。「議論」では「1on1対話」はうまくいかない

議論とは、課題に対する結論(正解)を論理的に、効率的に出すことを目的とした話し合いです。会議をイメージすると良いと思います。

ここで、モヤモヤとした悩みを持ち出そうものなら、「言いたいことは何?」というような反応が返ってきそうですね。「結論から話せ」、「論点からずれている」と厳しく指摘され、自ら発言する人が居なくなる、いわゆる「お通夜ミーティング」を経験した人も多いことでしょう。さらに、議論に加われない人は、自分の居場所や存在感を感じにくくなってしまうこともあります。

一方、対話は悩みや困っていること、嬉しく感じたことなど、お互いの感情や価値観を認め合って、人間として尊重しあうコミュニケーションで、モチベーションの向上を目的としています。

実際の仕事の現場では、誰もが気持ちの浮き沈みを感じます。できていること、できていないことに一喜一憂することもあるでしょう。そういった人間の感情面を含めたフォローやフィードバックを、真剣に相手を理解しようというスタンスでできれば、お互いの存在感やここに居てよかったという感情が生まれます。

人は理屈だけでは行動できません。すべての行動は「感情」に支配されています。なので、「やる気=モチベーション」が起きるコミュニケーション、「1on1対話」を深めることが、組織力や個人のパフォーマンスを上げると言われています。

価値のある対話には、良質な「問いかけ」がある

皆さんは、「GROWモデル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これはコーチングで用いられる対話セッションのメソッドです。ビジネスコーチのように高度な対話スキルを持たなくても、質問のセットとセッションの進め方をある程度理解すれば、すぐに実践できます。

GROWモデルの概要

ラックでは、このGROWモデルの対話を気軽に体験できるツールを提供して、上司部下だけでなく、同僚や他部署の人と1on1対話をやってみようという施策を始めています。

参考となったのは、「TOILAB(問いラボ)」という、コーチングのトレーニングツールでした。対話を深める問いや、勇気づける言葉などが書かれた106枚のカードが箱に入っており、コーチングの適切な手順や問いかけを反復練習できます。このカードを開発した企業である、インターナルドライブ社の協力を得て、1on1セッションの楽しさ、有益さを実感できる講座を展開しています。

コーチング未経験者でもGROWモデル対話を体験できるツール「TOILAB(問いラボ)」。
GROWモデル体験シートの質問集

社内の反響

社内向けの1on1講座は2023年2月から継続的に実施してきましたが、目標設定のシーズンに合わせて2024年3月中旬~5月中旬の約2カ月の間に、GROWモデルの対話ツールを紹介する新しい1on1講座を合計6回開催しました。

任意参加の社内講座にも関わらず、ラック社員の約16%もの参加がありました。いずれの回もとても好評で嬉しく思いました。

参加者からの声をいくつか紹介します。

「次回の1on1が楽しみになった」
「1on1を行う際の心構えが変わりました」
「GROWモデル対話の具体的なデモが参考になった」
「話のスムーズな進め方の例が知れてためになりました」
「学術的な話と実践的なノウハウがあり、大変有益な講座でした」
「対話することで相手自身の発言を思考するフェーズに持っていく、という点がよく理解できました」

このように、1on1への見方や、実施のヒントを得られたという意見を沢山いただきました。

一般的に、他者の1on1の様子を知ることはとても困難です。しかし、このようなツールを使ったり、全員で学ぶ・試してみる場を設けたりすれば、他者の様子を見て学べます。また、1on1は必ず上司がリードするものだという思い込みも、払拭できそうな感触を得られました。

そして、GROWモデル対話は仕事の問題解決や、お客様との対話で本当の欲求を引き出すのにも役立つ、最強の対話メソッドでもあります。実際に2023年度、1on1対話ワークショップに参加いただいた方からは「お客様との対話に役立ち、本音を聞き出すことができた」という声も聞いています。多くの人がこのGROWモデル対話ができるようになると、業績にも良い影響がでることは間違いないと思います。

さいごに

ラックはサイバーセキュリティで世の中に貢献していく企業ですが、このような「学び」を提供できる力も持ち合わせています。このような取り組みに関して、もし少しでも興味をお持ちいただきましたら、ぜひ私までご連絡ください。1on1の普及に悩み、尽力している方とぜひ情報交換させていただきたいと考えています。

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