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"GRID Day"を初めて開催しました ~サイバーセキュリティに関する最新の研究成果の一端を披露~

サイバー・グリッド・ジャパン(CGJ)ゼネラルマネージャの加藤 智巳です。

当社の研究部門であるCGJは、2014年の設立以来、「深刻化するサイバー攻撃の脅威から日本を守るため、『多様な組織の有機的な連携=GRID』による多層的・面的な即応体制を構築する」ことを目標として、調査・研究、技術開発、人材育成、利用者啓発など幅広い活動に取り組んでいます。

このCGJの最新の活動成果を披露するとともに、サイバーセキュリティをめぐる課題の解決に向け、産学官の関係者と新たな協業関係を築くための第一歩とすることを目的として、3月1日(金)に東京都内で、"GRID Day 2019"と名付けたイベントを初めて開催しました(招待制)。

当日は100名を超える来場者があり、セミナーセッションでの講演・パネル討議に熱心に耳を傾けたり、最新の研究成果の展示内容を興味深くのぞき込んだりする様子がそこかしこで見られました。また、終了後に行った意見交換会では、来場者と当社研究者との間で活発な議論が交わされ、今後の関係者との連携の深化・拡大に大きな手ごたえを感じることができました。

コンセプト

本イベントは、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が主導するサイバーセキュリティ月間(2月1日~3月18日)関連行事として企画しました。
本イベントでは、CGJの目標を踏まえ、「『連携=GRID』による新たな価値の創出」の意義を関係者と共有し、CGJの主要テーマである共同研究、人材育成及び情報共有に関する協業の具現化に向けたきっかけを作ることに主眼を置きました。

会場名も「永田町GRiD(東京都千代田区平河町)」。当社本社から至近であることもさることながら、「新たな社会を構想する人がつながり、ビジョンや活動を共有する *1」というそのコンセプトが本イベントの目的とも共鳴することから、名前先行で即決しました。

サイバーセキュリティにまつわる旬な話題に関する講演

セミナーセッションでは、コネクティッドカーをめぐるサイバーセキュリティの状況や、2020年東京オリンピック・パラリンピックを1年後に控えた日本で予想されるサイバー攻撃と対策など、最新の活動成果や関連動向について講演するとともに、利用者啓発に関するパネル討議を行いました。

講演:
CASE *2時代のコネクティッドカーのサイバーセキュリティの動向と対策

IoT技術研究所長 渥美 清隆による研究紹介に続き、株式会社ユビキタスAIコーポレーション 佐野 勝大 取締役 *3より、自動運転時代の車載ソフトウェア・システムにおける品質・サイバーセキュリティ確保策について豊富な周辺情報を織り交ぜつつ解説していただきました。

この中で、佐野氏は「間近に迫る自動運転時代に見合ったセキュリティ対策のベストプラクティスが示されたものの、実行が伴っているとは言いがたい状況。今後はベストプラクティスを実現する具体的な実行方法を検討し実践していく必要がある」と強調されました。

佐野氏の講演模様
佐野氏の講演模様

パネル討議:
ICT嗜好から志向のためのリテラシー啓発と手法を考える

パネリストとして北陸学院大学人間総合学部子ども教育学科 村井 万寿夫 教授及び広島大学大学院総合科学研究科 匹田 篤 准教授をお招きし、ICT利用環境啓発支援室長 吉岡 良平をモデレータとして、パネル討議を行いました。

この中では、子供に関わるインターネットでのトラブル等を踏まえ、イベント当日に公開した「情報リテラシー啓発のための羅針盤 *4」も紹介しつつ、情報リテラシー啓発の意義と課題について議論しました。さらに、情報教育が今後さらに充実される方向にあること等を踏まえ、ICTの利用が子供の「嗜好」レベルにとどまる現状から、将来の職業選択までを見越した「志向」に昇華させていくためには、「かっこいいエンジニアの姿と魂」を身近な子供に見せることが第一歩であると、登壇者より来場者へエールを送り、討議を終えました。

パネル討議の模様(左より村井氏、匹田氏、吉岡)
パネル討議の模様(左より村井氏、匹田氏、吉岡)

講演:
サイバー攻撃に係る予兆・予測分析を可能とする独自インテリジェンスの生成に向けて

次世代技術開発センター長 小笠原 恒雄による研究紹介に続き、株式会社Geolocation Technology事業推進部 風間 勇人 課長より、IPアドレスと、それに紐づく属性情報の多様な分野における活用事例をご紹介いただきました。特に、セキュリティ分野において、なりすましや不正通信の検出等での活用に加え、独自インテリジェンス生成での活用など当社との連携についてもご説明いただきました。この中で、風間氏は「今後のセキュリティ対策では、まず通信の相手方がIPアドレスをどのように用いているかを把握し、そのインテリジェンスを自らのセキュリティ対策に取り込んでいくことがますます重要になる」と強調されました。

その後、小笠原より、サイバーインテリジェンスの具体的な分析事例や今後の計画について発表しました。

講演:
実戦競技による高度セキュリティエンジニア人"才"育成

サイバー・グリッド研究所長 仲上 竜太より、研究紹介等に続き、巷を賑わすセキュリティ人材不足に対する一つの解法として、人材発掘、意識・能力の底上げ及び訓練に資する実戦形式の競技であるCTF *5 及びHardening *6 について発表しました。

講演:
2020東京オリンピック大規模サイバー攻撃に備えよ!(予想されるサイバー攻撃と対策)

ナショナルセキュリティ研究所長 佐藤 雅俊より、イベント当日に公開したCGJの情報誌「CYBER GRID JOURNAL Vol.7 *7」における特集「2020大規模サイバー攻撃に備えよ ~東京オリンピックに向けて~」について詳細に解説しました。

最新の成果を間近で見られる展示ブース

CGJ傘下各部門の具体的な活動成果について、試作品やポスター等を展示したほか、デモンストレーションを行いました。

参加者からの質問等に応対した各部門担当者は、自身の活動内容への関心の高さを実感したり、思いもよらない活用のアイディアをいただいたりするなど新鮮な刺激を受けたようです。また、メディアからの取材や講演の依頼を頂くなどの反響もあり、私自身、適時・適切な情報発信の重要性を再認識しました。

展示ブース全景(開場前のプレス向け公開時の様子)
展示ブース全景(開場前のプレス向け公開時の様子)
部門 展示内容
サイバー・グリッド研究所 「実戦競技によるセキュリティ人"才"育成」
ゲーム感覚でのスキルアップに資するCTFのデモンストレーション等
ナショナルセキュリティ研究所 「サイバー戦から読み解くセキュリティ」
攻撃者の政治的な意図や背景の分析等を通じた攻撃傾向等の予測手法であるポリティカルアトリビューションの概念及び国際情勢とインシデント検知傾向との関係の解説等
次世代技術開発センター 「予兆・予測分析に向けたサイバーインテリジェンス」
集積から共有・連携・活用までを一気通貫する情報基盤の構築に向けた一部構成要素のデモンストレーション等
IoT技術研究所 「車載セキュリティ -- 万が一乗っ取られたら --」
スマートCANケーブルの試作品展示及びそれを利用したセキュリティオペレーションの提案等
ICT利用環境啓発支援室 「利用者啓発・次世代人材育成と関係団体への支援」
利用者啓発のための各種素材、次世代人材のセキュリティ分野への興味を促すための取組み、"すごうで2018"活動成果、当社が事務局を預かる各種関係団体の活動紹介等

当日の講演資料その他の詳細、CGJの概要については、当社ホームページをご覧ください。

また、CGJの活動内容やCGJとの連携・パートナーシップ等に関するお問い合わせ・ご相談は、次の連絡先までお気軽にどうぞ。
サイバーセキュリティの取り組みは非常に広範囲かつ専門的領域に及ぶため、ラック一社でできることは限られています。CGJの趣旨にご賛同いただき、協業を志す皆様からのご連絡をお待ちしています。

【お問い合わせ先】
サイバー・グリッド・ジャパン
E-mail:cgj-info@lac.co.jp

当日はお忙しい中ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。改めて御礼申し上げます。

注 文中の所属・役職などは全てイベント開催当時のものです。


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