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TOEICを点字受験しました

先日1月31日に、点字にて第207回TOEIC公開テストを受験してきました。

点字

「点字って何?」という方はあまりいらっしゃらないかもしれませんが、念のため説明いたしますと、浮き上がった六つの点の組み合わせで文字を表現するもので、基本的に視覚障がい者が目に頼ることなく触覚のみで読み書きするという用途で用いられます。身近なところでは、公共施設のエレベーターのボタンや駅の階段の手すり・お酒の缶などで確認できますので、ご興味があれば探してみてください。

さてTOEICですが、言わずもがな、試験問題は英語で記述されています。点字にも日本語を表現するための日本語点字に加え、英語を表現する記述方法も存在しますので、この英語点字(正確には「U.S. Grade Two Braille」という方式)にて問題が記述されます。問題はリスニングとリーディングで構成され、全て選択問題となっています(このあたりは一般的なTOEICと同様です)。

「それで結局TOEICはどうだったんだ」という部分については.........
そもそもそんなに英語が出来るわけではないので「ご想像におまかせ」ということにさせていただきます!

ただ、今回に限りませんが、点字で何かの試験を受けようと思った場合、勉強用に参考書や過去問題を入手するのが非常に困難です。インターネット上の情報や電子テキストなどの形式で断片的な情報を入手できることはあるのですが、問題全体を点字で事前に入手して勉強できることは極まれです。これまでにIPAの情報処理技術者試験を初めとして、IT系のベンダ試験をいくつか受験してきましたが、一回で合格したものは実はあまり多くありません。多くの場合、以下のような流れをたどります!

「とりあえず試験要綱を元にインターネット上の情報を探しつつ勉強する」
 
「一回目の受験」
 
「不合格」
 
「一回目の試験問題を元にポイントを絞って学習」
 
「二回目の受験」
 
「合格」

そんなわけで、「TOEICも次はもう少しできるだろう」と楽観的に考えています!!点字受験が可能な公開テストは半年に一度ということなので、また半年後か一年後か...それまでにはきっと英語力の向上もしているはずなので、再チャレンジしたいと思います。

最後に、TOEICの公開テストが点字で受験できるようになったのは極最近になってからです(2015年夏から)。それまでは諸々の条件をクリアした上でIPテスト(団体特別受験制度)の形式でしか受験できなかったため、一個人として点字受験がしたいと思うと非常にハードルが高い状況でした。

実際、一般的に行われている試験で、点字受験(代筆などの点字受験以外の方法で、視覚障がい者の受験に対応してくださっているケースもあるのでそれを含む)が実施されているものは一部に限られます。たとえば、情報処理技術者試験においても、私は個別にお願いさせていただき情報セキュリティスペシャリストやシステムアーキテクトを取得させていただきましたが、最新の平成28年春期試験においては、原則としてFE(基本情報技術者試験)・SG(情報セキュリティマネジメント試験)のみが点字受験対象となっています。その他の試験団体についても同様に「一部の試験のみ受験可能」としていたり、そもそも「点字受験を実施していない」という団体が大半であるものと思います。

障がいに関わらず、様々な分野の試験・高難易度の試験にもチャレンジできる機会をいただけることは、知識の向上・スキルアップになり、いろいろな可能性を広げることにつながると思っております。ぜひ、今回のTOEICのように、他団体においても点字受験の実施が広まっていくことを希望しています。


  • 正確には、日本語点字の方が後付けです。また、英語に限らず、様々な言語を表現するための方式が考案されています(私自身は英語と日本語の点字しか分かりませんが)。予断になりますが、言語ごとのルールに加えて、数学用の表記ルールや、情報処理用の表記ルールなど、さらに細かい分類も存在しており、専門的内容になると点訳できる方が非常に限られるという事情も存在します。この「専門的内容(=情報処理点字)を点訳できる方が限られる」ということは、情報処理技術者試験の一部分しか点訳されないことの原因にもつながっています。

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