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ソフトウェアに制御されるネットワークの世界(その2)

バズワードではないかと言われていた、SDN(Software Defined Networking)がここにきて急激に実用化が進んできた背景はなにか。そして、それに対してインフラエンジニアはどうしていくべきなのだろうか。

前回ブログ、ソフトウェアに制御されるネットワークの世界(その1)の続きです。
ユーザ企業での導入事例とそのメリット
前回ブログに記載した、東日本旅客鉄道(JR東日本)でのSDNを活用した「駅構内共通ネットワーク」事例については、ネット上でも多く紹介されていたので、詳細については以下を参照いただきたい。

NEC
NEC、JR東日本 東京駅でSDNを活用した駅構内共通ネットワークを構築
~鉄道業界で世界初、駅構内にSDNを導入し、環境変化に柔軟に対応~

ITpro by 日経コンピュータ
東京駅のネットワークにSDNを採用、集中管理で運用コストを削減

ITpro by 日経コンピュータ
すべてSDNベースで作ったJR東日本の「駅内ネットワーク」

従来、JR東日本ではシステムごとにネットワークを構築していたため設備が重複していた。また、駅構内の工事のたびに各ネットワークで設定変更が必要で、運用の手間が負担になっていた。

図2 既存および新たに稼働開始した「駅構内共通ネットワーク」概要

図2 既存および新たに稼働開始した「駅構内共通ネットワーク」概要

新しい駅構内共通ネットワークではSDNを活用し、以下の「鉄道駅特有の課題」について解決できたとのこと。

図3 鉄道駅特有の課題とその解決策

図3 鉄道駅特有の課題とその解決策

本事例で最大のメリットとして感じたのは「新たなネットワーク敷設を不要にしてシステム導入にかかる期間を短縮」したことであろう。新たなサービスを開始する際に、新たな回線の敷設工事や既存ネットワーク機器の個別変更が不要となり、物理的なネットワーク上に異なるセキュリティポリシーで新たな仮想ネットワークをコントローラで作ってあげるだけで実現できるのだから。

実際、講演では新サービス開始までの期間が以前に比較して大幅に短縮されたとの説明がありました。

あなたも「ソフトウェアに制御されるネットワークの世界」へ行く準備を進めましょう
SDN/NFVは決して未来の技術ではなく、インフラエンジニアにとって近いうちに避けては通れないものとなるでしょう。
今までのレガシーネットワークとは構築も運用も全く違ったものとなるため、インフラエンジニアは今まで以上に情報収集を怠ってはいけないだろう。今後はOpenStackとSDNを組み合わせたプライベートクラウド構築が増えていくことも容易に想像できます。

しかし、ネットワーク上を流れるパケットはあくまでTCP/IPベースであり、高帯域やIPv6になっても基本的な考え方は変わらないでしょう。サーバエンジニアも含めて、特定のメーカーの製品ベースではなく、汎用的なネットワークに関する技術を改めて身につけておくことが必要ではないでしょうか。

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