株式会社ラック

トップレベルのセキュリティ技術を駆使した
ITトータルソリューションで、未来をきり拓く

セキュリティ事故発生時はこちら
閉じる

ご相談は予約不要、24時間対応

緊急対応窓口:サイバー救急センター®

セキュリティに係るお客様の緊急事態に際し迅速にお客様をご支援する緊急対応サービスです。
緊急事態が発生したら今すぐ「サイバー救急センター」にご相談ください。

電話で相談する

メールで相談する

サイバー救急センター®のメールアドレス

自分で調べる

LAC WATCH
2020年03月16日 | 広報情報

【対談:ラック西本 企業探訪】強いリーダーシップで変革を推進 - 株式会社ふくおかFG 編(3/3)

各業界で活躍するIT部門のキーパーソンをラックの西本逸郎が訪ね、IT戦略やサイバーセキュリティの取り組みについてざっくばらんに、"深く広く"伺う対談企画「ラック西本 企業探訪」。今回は、ふくおかフィナンシャルグループ取締役執行役員でCIOの森川 康朗さんにご登場いただきます。第3回は、ITやデジタル戦略にかける思いをお話しいただきました。

都銀の営業方法に衝撃

 西本  森川さんが福岡銀行に入行された当時と現在とで、地域金融機関としての役割はどのように変わっていますか。

 森川  地域に安定的に資金を供給するという地方銀行の役割自体は、当時も今も変わらないと思います。

少し振り返ると、私が入行した1981年は規制金利の時代で、1万円でも1億円でも、定期預金なら一律の金利でした。資金需要も旺盛でしたから、貸出金の原資となる預金を集めることが若手行員の最重要任務であり、今ではあまり注目されていませんが、電気料金などの口座振替の獲得に励んでいたのです。

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 取締役執行役員、CIO 森川 康朗

一方、都銀は私たち地銀とは全く異なる動きをしていました。入行5年目に半年間、当時の三菱銀行行徳支店(千葉県市川市)に研修派遣されたのですが、そこでは資産家向けに税務相談や相続税対策を提案し、融資を推進していたのです。今でいうコンサルティング営業ですね。支店の目標も、私たちは「預金残高」でしたが、三菱銀行では「収益額」を第一に設定していました。

 西本  都銀と地銀の営業方法の違いを肌で実感されたのですね。

 森川  「同じ銀行でもこんなに違うのか」と衝撃を受けました。得難い経験でしたね。都銀の支店への派遣は行内で私が第1号でしたから、帰任後は支店長や行員向けの研修を通じて都銀の状況を紹介し、福岡銀行行員の意識変革を図ろうと取り組んだものです。

 西本  その後の福岡銀行の先進性を語る上で外せないのは、2003年に全面稼働した広島銀行との共同システムです。地方銀行として初の取り組みでした。

 森川  確かな話ではないかもしれませんが、当時、地銀全体でシステムについて研究、検討しようとする動きがあったのですが、福岡銀行、広島銀行の頭取が、まずは自分たちでやろうということでスタートしたと聞いています。

 西本  そして現在の金融業界を取り巻く状況ですが、米IT大手のグーグルが2020年中に金融事業に参入すると報じられるなど、国内外で異業種による金融サービスへの参入が相次いでいます。国内ではさらに、政府の強力な後押しもあって、キャッシュレス決済の普及が急速に進みつつあります。この状況をどうご覧になっていますか。

 森川  大変な危機感を覚えています。

幼少の頃からパソコンやインターネットが身近にある「デジタルネイティブ」世代のお客様が増えたことにより、既存の銀行・金融サービスではお客さまのニーズに十分こたえられない場面が実際に生じ始めています。

10年後を見据えたデジタル戦略

 西本  変化はどのようなところに表れていますか。

 森川  銀行に来店するお客さまが10年前に比べて3割減っています。従来は店頭でしかできなかった取引が、インターネットバンキングやモバイルバンキング、コンビニATMなどでできるようになったためです。かつては店頭での待ち時間が1時間超などざらでしたが、今、そのような光景はほとんど見られません。

 西本  10年前と言えば、スマートフォンが国内で流行し始めたころです。それから10年経ち、スマホの所有率は1人1台以上となって社会のインフラとして定着しました。今のはやりはAIですね。

 森川  そうですね。デジタルによる環境の変化に柔軟に対応するため、ふくおかフィナンシャルグループ(以下、ふくおかFG)でも、既存の銀行ビジネスをデジタル技術によって根本的に変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組んでいます。子会社のiBankマーケティングが手掛けるフィンテック事業や、2020年度中の開業を目指す「みんなの銀行」もその1つです。

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 取締役執行役員、CIO 森川 康朗

 西本  「みんなの銀行」は、地方銀行初のネット専業銀行ということで注目を集めていますね。構想を実現するに当たっては、行内のコンセンサスを得るのが大変だったのではないでしょうか。

 森川  推進力となったのはトップの強い思いです。新しい銀行を作ると言っても、「本当にもうかるのか」との疑問は当然付きまといます。

しかし、銀行の従来のスタイルでのシステム開発から考えると、一つの商品を世に出すのにどんなに早くても半年以上はかかります。銀行のシステムにはさまざまなものが複雑に絡んでいる上に、ホストコンピューターの根幹部分は30年以上も前のものを使っています。

ですから、新しい商品をリリースする前には多くの検証を実施し、既存のシステムに影響が及ばないことを確認する必要がありますが、商品開発に半年以上もかかっていては、新たな金融サービスを次々と打ち出すフィンテック企業にとても太刀打ちできません。

 西本  フィンテック企業のような新興企業は良くも悪くも、過去からの資産がなく身軽ですからね。「持たざる者の強み」です。

 森川  既存の銀行システムの中でやろうとすると、どうしても手かせ足かせがあります。それで、いっそのこと新しく銀行を作ろうとなったのです。

もちろん、銀行のグループ企業ですから、セキュリティやマネーロンダリングの対策などで一定のレベルは求められますが、古い商品のメンテナンスなどをする必要がありませんから軽いシステムが作れます。

デジタルの収益寄与額は、現時点では全体の0.0何パーセントにすぎず、圧倒的に既存業務による収益のほうが大きいのが現状です。しかし、10年後を考えると、今からやっておかなければ手遅れになると懸念しています。

 西本  金融の領域において、10年後も第一線のプレーヤーでいることを視野に置いているのですね。

デジタルは自前で

 西本  CIOとして、ITやデジタルに対する行内の反応をどう見ていらっしゃいますか。

 森川  これも10年前と比べると全然違います。昔は安定稼働第一で、システム部門も狭い世界の中でやっていましたが、今は経営層以下、ITやデジタルへの関心が非常に高く、若い人も自ら希望してIT部門に異動してきます。

 西本  デジタル戦略に関して、IT部門はどのように関わっていますか。

 森川  ふくおかFGでDXを推進する部署は事業戦略部で、IT部門はデジタルを含めたふくおかFG全体のITガバナンスやセキュリティを所管しています。また、銀行の既存システムに接続するためにはAPIと呼ばれる仕組みを作る必要がありますから、このAPI接続などの面でも事業戦略部と密接に連携しています。

デジタル戦略を強力に推進するため、事業戦略部門の陣容を今後拡大する必要がありますが、同時に、デジタルと既存の銀行システムの間を取り持つIT部門を増員することも大切です。

 西本  ひとたび問題が起こると社会に与える影響は甚大ですから、事業のインフラを支えるIT部門の役割と責任は重大ですね。

 森川  ITで難しいのは、システムを最新のものに変えたとしても、以前と同じように業務やオペレーションができるようにすることです。しかし、IT部門以外の人にはなかなかこの難しさが理解されません。

経営統合に伴うシステム統合のように、従来のシステムをすべて置き換え、営業店の事務も全て変更してしまう場合は、移行は大変ですが成功する確率は高いのです。しかし、「システムは変わっても事務やオペレーションは変わらないように」と要求された途端に、非常に難しくなります。業務部門との十分な協議、連携が必要になると思います。

株式会社ラック 代表取締役社長 西本 逸郎

 西本  システムの置き換えができないという問題は、突き詰めると全体の業務を把握できていないことが原因です。見えていないことは仕様書に書けませんからね。すべての業務を把握している人がいないからと、当社も「実際にソースを見てくれ」と頼まれることがありますが、苦労するのが常です(笑)。

ところで、ふくおかFGにはAPIを開発する技術者は何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか。

 森川  開発は自前ではやっておらず、外部ベンダーに委託しています。福岡銀行と広島銀行の共同化システム専用のベンダーです。自前でシステム開発を行っているところは全国的にも少ないのではないでしょうか。

しかし、外部に基幹系システムの開発・運用を全面委託してきたことが果たして良かったのかと自問することがあります。

 西本  どういう意味でしょう。

 森川  広島銀行と共同で基幹系システムの開発運用を外部に委託した結果、確かに経済効果は大きかったと思いますが、自分たちでシステムを構築してきたわけではありませんから、知見もノウハウもなかなか蓄積されません。

あるメーカーはすべてを自前で進めており、自社の技術標準もしっかり持っていると言います。自分たちで作っていると、外部ベンダーに委託するときも「いくらぐらいでできるはず」と見当がつきますが、私たちはそれができません。

それもあって、デジタルはできるだけ自前でやりたいと思っています。よちよち歩きではあっても、DevOpsやアジャイル開発に取り組んでいきたいと思います。デジタルはスピード感、柔軟性が命ですから、自分たちで商品を自在に作れるような環境に変えていくことが理想だと考えています。

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 取締役執行役員、CIO 森川 康朗

 西本  ここまで3回に分けてお話を伺ってきましたが、「金融テクノロジーの日は西(=福岡銀行、ふくおかFG)から昇る」と称される理由がよく分かりました。

数々の課題を乗り越えてこられた鍵は、銀行の役割が変化する中でIT活用のあり方を模索する先見性と、地域に根差し地域と支え合う関係性、そして森川さんのご経験とリーダーシップなのですね。地殻変動が続く金融業界において、常に時代の一歩先を歩くふくおかFGの今後が楽しみです。

プロフィール

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 取締役執行役員、CIO 森川 康朗

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
取締役執行役員、CIO
森川 康朗(もりかわ やすあき)
1981年福岡銀行入行。事務、融資第二、総合企画部長、取締役専務執行役員を経て、福岡銀行副頭取兼ふくおかFG取締役執行役員CIO。
現在、事務、IT及び十八・親和銀行の事務システム統合プロジェクトを担当。

株式会社ラック 代表取締役社長 西本 逸郎

株式会社ラック
代表取締役社長
西本 逸郎(にしもと いつろう)
1986年ラック入社。2000年にセキュリティ事業に転じ、日本最大級のセキュリティ監視センター「JSOC®」の構築と立ち上げを行う。様々な企業・団体における啓発活動や人材育成などにも携わり、セキュリティ業界の発展に尽力。

この記事は役に立ちましたか?

はい いいえ