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LAC WATCH
2020年08月27日 | サービス・製品

【カスタマーストーリー】ニュートリノ科学研究センター最先端の科学研究にIT技術が欠かせないワケ

「カスタマーストーリー」では、ラックとの関係の深いお客様やパートナーの事業活動を紹介いたします。今回は、「カムランド」というニュートリノ検出器で有名な東北大学ニュートリノ科学研究センターです。

物質とは?ビッグデータで永遠の疑問解明に挑む

私たちは、日常生活を「物質」に囲まれて送っています。食料や水、生活必需品はもちろん、我々が住む地球という星も物質として存在しているのです。無限に広がる宇宙を含め我々が良く知る物質は、宇宙の構成要素のたった4.9%程度と想定されており、残りは現在の人類の科学力をもってしても未知の領域だといいます。私たちが「この世」と言い表す物質世界を知ることは、最も原始的かつ困難なテーマの一つ。この壮大な疑問に素粒子「ニュートリノ」の研究で取り組むのが、東北大学ニュートリノ科学研究センターです。

カムランドの名前の由来とは?

実験施設のある神岡鉱山は、古くは奈良時代から2001年まで鉱石の採掘が行われていました。そして現在、神岡鉱山のある岐阜県飛騨市(旧吉城郡神岡町)は、「宇宙科学最先端の町」として全国的にもその名を知られるようになっています。それは、神岡の名前を冠するニュートリノ測定器「カミオカンデ」によるものです。

カミオカンデは、物理学者・天文学者である東京大学小柴昌俊教授(現東京大学特別栄誉教授)が設計を指導・監督して建設された、陽子崩壊研究を主目的とした実験装置で、1983年より稼働を開始しました。そして1987年に史上初めて超新星爆発時に発生したニュートリノの観測に成功したことで、2002年にノーベル物理学賞を受賞しました。この快挙により、カミオカンデの名前と共に神岡町の名前が世界中に知られました。

カミオカンデは、より大型の装置であるスーパーカミオカンデにその役目を譲り解体されました。そしてその跡地には、新たに「KamLAND(カムランド)」と呼ばれる実験施設が造られました。

カムランドとはどんなもの?

カムランドは、直径13メートルのバルーン状の特殊な構造をしており、カミオカンデが超純水を用いてニュートリノを検出するのに対し、液体シンチレーターと呼ばれる特殊な油をバルーン内に格納しています。液体シンチレーターでニュートリノ反応が起きたときの発光量は超純水との比で100倍にもなり、より低いエネルギーまで観測が可能です。

カムランドの内部構造
カムランドの内部構造

また2011年からは、「カムランド禅」と呼ばれる、ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊を探索するプロジェクトが進んでおり、この調査によりニュートリノの質量が明らかになると期待されています。

ニュートリノは、物質を構成する最小単位である素粒子に属するもので、一般に知られる超新星爆発のほかにも、太陽の核融合反応や、宇宙線と地球の大気の衝突、原子力発電所や地球内部からも発生することが分かっています。

ニュートリノ科学研究センターの玉江京子助教は、ニュートリノの観測に鉱山が適していた理由に関してこう述べています。

ニュートリノはほとんどの物質と干渉せず物質内部をすり抜けるが、稀に液体シンチレーターの物質と衝突し発光することがあり、それを観測しているのがカムランドです。しかし、地球上には宇宙線が絶えず降り注ぎ、観測の邪魔(バックグラウンドという)をします。でも、池ノ山の山頂直下1,000mのこの地下施設では、宇宙線の影響はほとんど受けません。だから、この場所が最適な実験環境なのです。

ニュートリノ科学研究センター 玉江京子助教
ニュートリノ科学研究センター 玉江京子助教

IT技術無くして最先端の研究は行えない

玉江助教は、陽子崩壊の研究を進めると同時に、ニュートリノ科学研究センターのIT環境の管理者を兼務されています。

学生時代は、大型コンピュータを使用して、解析プログラムを開発して研究していました。その流れで、計算機の管理やネットワークに関心を持ったのだと思います。

そう語る玉江助教は、これまで率先して研究のIT化を推進してきました。そしてこれまでの取り組みを振り返りこう続けられました。

研究はスピード勝負ともいえます。IT無くして最先端の研究は行えません。仲間の研究者が不満なく研究を進められるよう、システムの設計を考えますし、予算折衝も行います。研究の本当の価値を知るのは私たち研究者です。だからこそ説得にも力が入ります。

ニュートリノ検出実験は365日24時間体制で行われています。カムランド内には、液体シンチレーターにニュートリノ粒子が衝突することで発光する現象を捉える、光電子増倍管(光を検知するセンサー)が1,879本設置されており、それらが一日に収集するデータは600GB~800GBという膨大なデータ量となります。

このデータは一日に一度、直線距離で約400km離れた宮城県のニュートリノ科学研究センターへ高速伝送され、分散型計算サーバーにより即座に解析されます。最先端研究においては、同様の研究を行う他の研究チームとのスピード競争となる側面もあり、得られた観測データからスピーディーに実験結果を得ることは、絶対不可欠だといいます。

坑内に張り巡らされた配線や配管
坑内に張り巡らされた配線や配管

宮城県に設置された観測データを蓄えるストレージは、実効容量で2.3PB(ペタバイト)にもなり、大容量かつ高速なストレージと、データ保管用のテープライブラリ装置により完全なデータ管理が行われています。

そして2016年、止まることのない実験を継続してきたカムランド共同実験チームに対して、基礎物理学賞財団より「基礎物理学ブレイクスルー賞」が送られました。これは、2015年の東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章教授がニュートリノの質量の存在を示した研究でノーベル物理学賞を受賞した際の根拠となる研究であったことが評価されたものでした。

基礎物理学賞財団より「基礎物理学ブレイクスルー賞」を受賞
基礎物理学賞財団より「基礎物理学ブレイクスルー賞」を受賞

大震災という突然の試練、頼りとなったのは?

2011年に発生した東日本大震災は玉江助教にとって大きな試練となりました。その年は「カムランド禅」の実験初年度であり、新計算機システムが運用開始した直後に未曽有の大災害が発生したのでした。幸いなことにニュートリノ科学研究センターの施設は最小限の被害に抑えられました。しかし、連続稼働を目指すITシステムには一抹の不安を感じたといいます。

玉江助教はこう語られました。

このような試練は、人を不安にするものです。これまでの実験でも震災においても、試練を乗り越えることでこれまで見えなかった成功が見えてくると信じて、邁進してきました。

また同時に、

震災の時には、ラックのエンジニアの方々に親身に対応していただきました。震災直後に現地に駆け付けてくれて本当に心強かったです。ITのプロの存在が、私たちの成功を支えてくれていると思います。

ニュートリノ科学研究センターのシステム稼働を一緒に見守り続けたラックのスタッフもあらためて、お客様との信頼関係、つながりというものの大切さを実感したといいます。そして現在も、私たちは膨大なニュートリノの実験データから永遠の疑問を解明するカムランドと解析システムの稼働を見守り続けています。

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