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初めてのAWS re:Invent参加でわかった、7つの準備ガイド

こんにちは。クラウドサービス部の滝山です。

今回、ラスベガスで開催されたAWS re:Inventに初参加してきました。2025年12月1日(月)〜12月4日(木)の4日間、世界中からエンジニアやアーキテクトが集まる圧倒的なスケールのカンファレンスを体験し、多くの知見と刺激を得ることができました。会場の熱量や、日々更新される発表のスピード感はまさに別世界で、非常に満足度の高い経験となりました。一方で、膨大なセッションや展示が同時並行で進む環境では、限られた時間をどう使うかによって得られる成果が大きく変わることを実感しました。

本記事では、初めて参加される方に向けて、現地で実感した参加前に準備しておくべきポイントを整理しています。これから参加を検討している方や、参加準備を進めている方の参考になれば幸いです。

おすすめの準備、7つのポイント

ここから、AWS re:Invent参加に向けて事前に準備すべき、7つのポイントについてご紹介します。

渡航スケジュールは余裕をもって組む

搭乗便が欠航

今回、運悪く機材点検トラブルにより搭乗便が欠航する事態が発生しました。ツアーの添乗員が30名以上の振替対応に最大限尽力してくれたものの、大きなスケジュール変更を余儀なくされました。結果として、ラスベガス到着が当初予定していたAWS re:Invent開始前日11月30日(日)夜から翌日の12月1日(月)午後へとずれ込み、初日のセッションは断念せざるを得ませんでした。当初の予定より1日早く現地入りできるスケジュールを組んでいたら......、と悔やまれました。

また、AWS re:Inventは、体力と時間管理が大切です。期間中はAPJ(Asia Pacific and Japan) on TourのKickoffパーティやJapan Nightなど夜間イベントが連日続きます。技術セッションで頭を使い、夜はネットワーキングの場で情報交換を重ねるというサイクルになり、休息時間の確保が難しくなります。特に初参加の場合、時差の影響も重なってコンディション管理の難易度が上がります。そのため、現地入りは少なくとも2日前到着を前提とした渡航計画を立てることを強く推奨します。

寒さ対策は必須

屋外の冷え込みは想定していましたが、実際に厳しかったのは会場内の空調でした。人が密集する環境であるためか、屋内では空調が効いています。周囲でも「寒い」という声が聞かれ、集中力への影響は無視できないと感じました。

実際に持参して役立ったアイテムは以下の通りです。

  • ヒートテックなどの保温インナー
  • 保温タイツ
  • 軽量ダウンジャケット

屋外対策だけでなく、屋内の強冷房にも備えた1週間分の服装計画が必要です。

言語の問題は根性ではなく、ツールで乗り越える

Keynoteは、日本語同時通訳用のトランシーバーが提供されますが、通常セッションは原則すべて英語です。私自身、日常会話レベルの英語は理解できるものの、技術的な議論を十分に理解・処理できる水準には達していませんでした。

その中で参加したセッションが、「Cloud Migration Journey Tabletop Experience [REPEAT](GHJ207-R1)」です。企業のクラウド移行を想定した設計やインシデント対応方針について、約2時間にわたりチーム形式でディスカッションを行い、シナリオ対応の精度をチームで競いました。AWS re:Inventの中でも人気の高いゲーム形式セッションの1つであり、参加型の進行により実践的な学習効果が得られる、非常に体験価値の高い内容でした。

参加の際、多くの日本人参加者が以下のツールを活用していることに気づきました。

  • 翻訳対応イヤホン
  • リアルタイム通訳アプリ

ディスカッション形式のセッションは想像以上に負荷が高いため、英語力に不安がある場合は翻訳ツールの準備は現実的かつ費用対効果の高い対策です。

セッション予約は早めに

AWS re:Inventでは日本人参加者が非常に多く、日本語対応セッションは早期に満席となる傾向があります。なお、2025年は、参加者数が米国に次いで日本が多かったようです。「Japanese」で検索すると日本語セッションを確認できますが、公開後に間もなく枠が埋まるケースも珍しくありません。

また、ゲーム形式の体験型セッションも非常に人気が高く、これらも例年早い段階で満席になります。当日枠でも参加は可能ですが、日本語セッションや人気の体験型セッションを確実に受講したい場合は、スケジュール公開時点で事前予約を済ませておくことが重要です。

一方で、Keynoteでは新サービスの発表が行われ、それに伴って期間中に新たなセッションが追加されます。加えて、EXPO会場も非常に広く、全体を網羅しようとすると1日あっても回り切れない規模です。会場全体の広さ自体は事前情報として把握できるものの、実際の移動にかかる所要時間は現地で体験して初めて分かる部分も多く、出発前に全体のスケジュールを完全に固めることは難しいと感じました。

こうした点を踏まえると、事前予約としてはKeynoteと重ならない時間帯を前提に、移動時間を30分以上見込んだうえで、特に関心のあるセッションを2~3件程度押さえ、残りは現地で柔軟に調整するという進め方が、現実的かつおすすめです。予約できなかったセッションや判断に迷うセッションについては、あらかじめ「お気に入り」に登録しておくことで、現地での選択に役立ちます。

AIの基礎知識は事前に押さえておく

近年のre:InventはAIが中心テーマです。2025年も例外ではなく、全体を通じてAIやマルチエージェント、モデル最適化基盤など、AWSが注力する最新技術が各所で取り上げられていました。Keynoteでは企業活用の方向性が示され、個々のセッションでも実践的なユースケースが次々に紹介されるなど、AIがクラウド活用の前提となりつつあることを強く感じさせる内容でした。

こうした状況から、事前準備としては、G検定レベルの知識体系を一度整理しておくことは非常に有効です。機械学習や生成AIの基本概念を理解しているだけで、セッション内の議論の解像度が大きく変わります。AIの基礎を押さえておくことは、セッション理解度と満足度の向上に直結すると感じました。

名刺は100枚準備し、常に携帯する

名刺は最低でも100枚程度を準備し、期間中は常に持ち歩くことを推奨します。イベント中は想定以上に名刺交換の機会が多く、途中で不足するケースも少なくありません。名刺が切れると関係構築の機会を逃すことになり、かなり勿体ないです。

実際に私自身も50枚以上の名刺を交換しており、イベント参加時の名刺の重要性を強く実感しました。特に初日の夜に開催されたAPJ on TourのKickoffパーティでは、持参した名刺が約20枚しかなく、途中で在庫が尽きてしまいました。名刺がない状況では声かけの心理的ハードルが上がり、行動量にも影響します。

補足として、日本人参加者とのネットワーキングを重視する場合は、APJ on TourのKickoffパーティやJapan Nightへの参加を推奨します。これらのイベントは、日本人参加者同士の交流機会が多く、情報交換や人脈形成に非常に有効です。

APJ on Tourの夜景
APJ on Tourの夜景

コミュニケーション力を高めるために、グローバルな基礎知識を身につける

各EXPOブースの担当者は北米出身の方が多く、「日本出身です」と伝えると、親戚が日本に住んでいる話や、訪日経験、好きな日本食の話題など、想像以上に距離が縮まる瞬間が多くありました。会話が弾むと、ブースの担当者もプロダクトの深い部分まで積極的に説明してくれるため、コミュニケーションは学びの質に直結します。

一方で、こちらから相手の出身国や地域について質問した際に、十分な知識がなく会話を広げきれない場面もありました。現地の社会情勢や文化的背景にもう少し理解があれば、相手の話を起点により自然に話題を発展させられたはずです。国際カンファレンスでは、技術力だけでなく、異文化に関する基礎知識や話題の引き出しを持っておくことも、重要なスキルの1つだと実感しました。

おまけ:現地での買い物について

私はMGM Grandに宿泊し、1日目と2日目の夜はre:Invent経験者に同行して外出し、3日目と4日目の夜は1人でお土産を買いに行きました。ラスベガス大通りは夜でも街灯が明るく、人通りも多いエリアのため、比較的安心して行動できました。複数のスーパーマーケットを巡りながら、価格や品揃えの違いを見比べるのは意外と面白く、現地ならではの発見も多くありました。

一方で、安全確保の観点から、以下の点は徹底することを推奨します。

  • 明るい大通りのみを利用する
  • スマートフォンを出しっぱなしにしない
  • 1人での外出は22時頃までに留める(スーパーや土産店の閉店に伴い、人通りが徐々に少なくなるため)

ラスベガスは観光都市として治安が比較的良く、1人でも出歩きやすい環境ではありますが、それでも慣れていない土地であることは変わりません。基本的な安全対策を徹底することで、リスクを避けながら現地ならではの楽しさを安心して満喫できると感じました。

ラスベガスの街の夜景
ラスベガスの街の夜景

おわりに

AWS re:Inventを最大限に活用するためには、技術的な準備だけでなく、渡航計画、体調管理、時間投資の優先順位付けといった大まかな全体設計の準備が不可欠です。事前準備の質によって、現地で得られる学びの深さは大きく変わります。

会場は広く移動時間も長いため、事前の計画次第で得られる学びの質が大きく変わると実感しました。また、現地でしか得られない最新トレンドやコミュニティの熱量は、大きな刺激となります。

本記事で紹介したポイントが、これから参加される方の不安を軽減し、現地での体験をより充実したものにする一助となれば幸いです。

ラスベガスの街の風景

プロフィール

滝山 莉子

滝山 莉子
2019年入社。主にAWS環境の設計・検証・運用に携わり、社内AWS検証環境の運営にもメンバーの一人として関わっています。AWSインフラ基盤の安定性と運用効率の向上に日々取り組んでいます。

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