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2020年02月13日 | ラックピープル

JNSAセキュリティ十大ニュースはどう選ばれる?執筆者による、2019年版公開までの回想

こんにちは。サイバー・グリッド・ジャパンの持田啓司です。

年末から年明けにかけては毎年、様々な企業や団体から「セキュリティ十大○○」というものが公開されます。
ラックが加盟している非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)でも、その1年に起こったニュースを取り上げ、セキュリティの視点から解説した「JNSAセキュリティ十大ニュース」を12月25日のクリスマスに公開しています。この執筆に3年前から関わっている1人として、2019年のニュース選定から公開に至るまでの裏側を振り返り、皆さんにご紹介しようと思います。

2019年のキーワードは「ガバナンス不全がもたらす危機の警告」。この年はまさにビジネス上の深刻な危機に陥りかねないニュースが続いた1年でした。

「拡散」〜1年の間に報道されたニュースの選定

12月初旬、新宿にある、とある会社の会議室に10人の執筆陣が集合します。まずはその1年間に報道されたニュースの選定に取り掛かります。様々なニュースの中から気になったものを1人10件ずつ付箋紙に書き出しますが、あくまでもニュース報道されたものに限りますので、「ニュースソースは何だったかな」などと思い出しながらの作業になります。また、その年に報道されたものか、前年から継続して話題になっているものなのかなど、記憶があいまいなものもありますが、まずは思いつくものを書き出す作業に専念します。

ここでのキーワードは「拡散」です。
セキュリティ事業者の観点からJNSAとして取り上げていいものなのか、セキュリティの問題と言えるのかなど、いろいろ気になる点も頭に浮かびますが、まずはより多くのニュースを抽出することを優先します。

「精査」~選定理由を討議し、着目点を明確化

続いて、たくさん出てきたニュースについて、どうしてそれを選んだのかを各自が説明し、その内容について討議します。執筆者10人と委員長、事務局長の計12人から10件ずつ出てきますので、全部で120枚の付箋紙が集まります。同じニュースでも執筆者によって注目する部分は違っていることも多く、関連するニュースとの対比でより面白い見方になることもあります。

ここでのキーワードは「精査」です。
ニュースソースを明確にし、誤った情報とノイズを排除していきます。国家間の政治的要素の強い問題や、噂の域を出ないものなどを除いていくわけです。
また、あるニュースをどのような視点でとらえるべきなのか、質疑形式で討議を重ねることで着目すべきポイントが明確になり、その後の執筆のしやすさにつながります。

「分類」~上位10件の絞り込みと順位付け

そろそろ上位10件に絞り込む作業が始まります。
ここでは「分類」を行います。 先ほど討議した内容をもとに、切り口を意識しながら分類し体系化していきます。おおよそ分類されたニュースに対して、執筆者ごとにこれは外せないというものに投票していき、投票数が多い順に並べます。
同数の場合は多数決で順位を決めますが、ニュース性の高さやこれからの社会に与える影響が大きそうなものが上位になることが多いです。

時には番外を入れることも

これで上位10件が決まりますが、社会への問いかけとしてどうしても何らかの形で残したいものが毎年出てきます。こういったニュースは、事務局長が執筆する編集後記や委員長が担当する前書きに反映されることになります。
今回はありませんでしたが、どうしても一つのニュースとして書いたほうがよい場合には、2018年の「東証のシステム障害の波紋広がる」のように、番外として執筆することもあります。

自分の担当するニュースが決定

ニュースが決まると執筆者を決定します。専門分野の人がいればその人を優先しますが、基本的には選定したニュースに対する持論がある執筆者の希望を尊重します。しかし、なかなか執筆者が決まらないニュースもあり、最後はじゃんけんやくじ引きで決めることもあります。
こうしてニュース選定の会議は終了し、全員が執筆に向けて構想を巡らせながら帰っていきます。

この段階まではニュースに対して好き勝手な意見や感想を述べていますが、いざ自分に執筆が回ってくると、自分はそのニュースに対してどのような意見を持っているのかを改めて自問していくことになります。
つまりは、JNSAの十大ニュースは定量的で科学的な文章というより、執筆者の思いを論ずる内容になっているのです。

セキュリティに関する大きな時代の流れを前書きで提示

執筆者が決まると、委員長による前書きを待ちます。選定された十大ニュースや選外となった様々なニュースの傾向を委員長が分析し、執筆者の意見も聞きながら、セキュリティに関する時代の流れを前書きとします。そこで示された時代の大きな流れを踏まえ、自分が執筆するニュースをどうとらえるのかを改めて考えることになります。

エンドレス校正の悪夢

ようやく執筆に入るわけですが、文字数はわずか800字。まとめるにはなかなか難しい文字数です。論じたいことをなんとか規定の文字数に収めると、いざ委員長による校正が始まります。一発合格はなかなかもらえず、セキュリティ業界の有名人ですら2回から3回のダメ出しがあります。内容の訂正であれば簡単ですが、「言いたいことを整理してもう一度書いてください」と返されると目の前が真っ暗になります。何度かやり取りをして言いたいことが伝わってくると、ようやく校了の兆しが見えてきます。
合格をもらった時には満足感というよりも燃え尽きてしまい、当分文章を書きたくなくなっている状態です。

執筆者の思いなどを総括して編集後記に

10本の原稿が出そろうと、事務局長が編集後記を執筆します。事務局長は執筆陣と委員長との間で繰り広げられる校了までのやり取りをつぶさに見ていますので、ニュース選定時の討議内容だけでなく、各執筆者の伝えたいことや委員長の前書きを受けた総括がなされ、「来年の十大ニュースには明るいニュースがもっともっと多く入ることを願い、そして平穏な年になることを祈りつつ」という定番の言葉で締めくくられます。

十大ニュース無事公開

以上のようにして取りまとめられた十大ニュースは、クリスマスの日を待ってJNSAのホームページで公開され、皆さんの目に触れることになります。

ダジャレが好きな執筆者は「タイトルに一番、力を使った」といいます。またある学術系の執筆者は「学会の論文を書くほうが楽」とも言います。かく言う私は「来年こそうまいダジャレを考えるぞ」と妙な反省をしながら公開された十大ニュースを読むわけです。

すでに述べた通り、JNSA十大ニュースは事実をそのまま書くのではなく、ニュースのもたらす社会的な課題等を執筆者自らの視点で描いたものです。その過程にはいろいろな議論があり、その上で執筆者の思いを論じた内容だということをご理解いただき、ニュースの持っている社会的な課題などを皆さんなりにお考えいただきながらご笑覧いただければ幸いです。

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