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部内勉強会(バックアップ)

この勉強会に出席しているメンバーは、お客先で業務を抱えているので、業務の進捗具合でどうしても都合がつかないこともあります。そんな忙しい中を駆けつけて出席しています。今回はいつもいろいろとサポートしてくれているY君もお客先から東京へ戻ってこれなくてWeb会議での参加となってしまいました(Y君は全国を飛び廻っている)。

今回のテーマ

運用の中でも重要なバックアップ、そしてリストア(リカバリー)についてです。
新社会人でもないのでバックアップの必要性については各自それぞれの業務で説かれていたり、実務においての必要性を感じたりしていると思いますので割愛しましたが、バックアップは対障害の復旧対応において必要なものです。システムにおいてのハードウェア障害、ユーザー操作などによりデータを誤って消失させたり間違って更新してしまうデータ障害、どちらにも対応できる方法としてバックアップはとても重要です。どこのシステムでもこの手の要件はかならず盛り込まれ検討されるはずです。(そう思っている。いや、そう思い込んでいるのはもしかしたら私だけなのかもしれない。)
というところはサラっと流し、DB2の技術的観点で説明を進めましょう。
 ・バックアップの種類、考慮点(DB2での標準機能のデータベースバックアップ)
 ・リストアの種類、考慮点

DB2のバックアップには、オフライン、オンライン、増分(インクリメンタル)、差分(デルタ)の種類があり、取得対象としては、データベースと表スペースがあります。理想としてはオフラインでデータベースのバックアップが理想ですが、そうもいかない(サービス停止できない)ためオンラインで取得する場合が多いと思われます。
バックアップ対象としては、データベースのデータが対象で、レジストリ変数、DBM構成パラメータ、db2diag.log、ログ・ファイル(オプションによっては格納される)、インスタンスホームなどのファイルはバックアップ対象にはなりませんので注意しましょう。

バックアップについて

バックアップを実行するとバックアップ・ファイルが出来上がります。格納しているデータサイズによって出来上がるファイルサイズも比例します。実行時間も比例して長くなります。バックアップを取得する方法もそれぞれ特徴があり、オフライン・バックアップおよびオンライン・バックアップはフル・バックアップ(全量)です。オフライン・バックアップは出来上がったバックアップ・ファイルを管理すればよいだけなので比較的管理が容易ですが、オンライン・バックアップはバックアップ・ファイルに加え、バックアップ取得処理中に更新されるログ・ファイルも合わせて管理しておく必要があります。リストア(リカバリー)時に該当ログ・ファイルが必要になるため、このログ・ファイルの管理もとても重要です。インクリメンタルは、フル・バックアップ取得後から変更した分をバックアップします。デルタは前回取得したフル・バックアップあるいはデルタ・バックアップからの差分をバックアップするため、管理対象ファイルが増えてしまうのでその点注意が必要です。インクリメンタルとデルタのどちらもフル・バックアップよりは処理時間が短いのでその点がメリットとなります。
今まで対応してきたシステムでデータサイズがそれほど大きくないデータベースではインクリメンタルおよびデルタでのバックアップ運用は無く、オンライン・バックアップで運用していました。開発環境ではサービス停止することができる場合はオフライン・バックアップでの取得とし、バックアップファイル管理を簡単にしています。
バックアップを実施するサイクルについてはシステムの重要度などにもよりますが、日次および週次など比較的短いサイクルで取得しておくことが理想です。リストアする際にロールフォワードで適用するログ量が少ない方が復旧作業時間自体を短くすることが期待できるためです。また、更新処理が少ない時間帯がログ量が少ないので実施する時間帯を検討する際に参考にするといいでしょう。

・オフライン・バックアップ イメージ
オフライン・バックアップ イメージ

・オンライン・バックアップ イメージ
オンライン・バックアップ イメージ

・インクリメンタル・バックアップ イメージ
インクリメンタル・バックアップ イメージ

・デルタ・バックアップ イメージ
デルタ・バックアップ イメージ

リストアについて

リストアは大きく2つの方法があります。1つはバックアップ・ファイルから回復するバージョン・リカバリー。もうひとつはバージョン・リカバリーした後、ログを適用するロールフォワード・リカバリー。ほとんどの本番環境では復旧する状態をできるだけ新しい状態に戻したいのでロールフォワード・リカバリーが前提で環境構築されています。こちらはバックアップ・ファイルに加え、適用するログ・ファイルが必要です。また、リストアとロールフォワードを一緒にした リカバー・コマンド があります。このコマンドは、リストアしたい時刻を指定するだけで処理実行してくれる非常に便利なコマンドです。内容としてはロールフォワード・リカバリーと同様で、バックアップ・ファイルのパスなどのオプション指定もする必要がなく自動的に読み取ってくれる非常に便利なコマンドです。そのため対象となるバックアップ・ファイルおよびログファイルは特定の場所に該当ファイルを適切に配置しておく必要はあります。

・バージョン・リカバリー イメージ(オフライン・バックアップ取得)
バージョン・リカバリー イメージ(オフライン・バックアップ取得)

・ロールフォワード・リカバリー イメージ(オンライン・バックアップ取得)
ロールフォワード・リカバリー イメージ(オンライン・バックアップ取得)

DB2のバックアップ以外では

バックアップ対象のデータベースが巨大になると、バックアップ取得にしてもリストアするにしても処理時間がかかってしまうため、(上記記載の)DB2機能でのバックアップではなく、外部ディスク機器でデータ領域をコピーしてくれる機能が使われています。そんな外部ディスク機器のコピー機能が選択されることが多くなっています。
参考資料:
DB2 V9 運用管理ガイド:バックアップ・リカバリーの基礎

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