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導入事例 | 

滋賀県立琵琶湖博物館様 スマホ音声ガイド事例

学ぶだけではない。「使い、集う博物館」を目指す。
「スマホ音声ガイド」サービスを活用したアプリケーション
「びわ博ナビ」

日本最大の湖面面積と貯水量を持つ「琵琶湖」。
約400万年前に成形された日本唯一の古代湖であり、1700種以上の水生動植物が共生し、60種を超える琵琶湖固有の生物も存在する、たぐいまれな自然環境を今なお残している。

琵琶湖は、人間にとっても生活の基盤、治水や水上交通に関する多くの技術を生み出だすこととなった。そして、日本の東西南北をつなぐ要衝でもあり、戦国時代の群雄割拠の舞台にもなった琵琶湖について、「湖と人間」をテーマとした博物館が「滋賀県立琵琶湖博物館」だ。

琵琶湖というたぐいまれな研究の素材

琵琶湖は世界に20ほどしか存在しない古代湖に分類され、約400万年前に成形されたとされている。1700種以上の生物と、60種を超える琵琶湖固有の進化を遂げた生物が生存しており、面積、貯水量ともに日本最大の湖であることから、その知名度は数ある湖の中でもずば抜けている。

通常、湖は数千年ほどで流入する土砂などにより消滅するが、古代湖は10万年以上もの長い期間存在する湖を指し、琵琶湖は世界でも4番目に古いとされている。現代に生きる我々は、悠久の時を超えて存在する琵琶湖から、様々な事実を知ることができる。例えば人類が登場する以前存在していた巨大な象や古代の花粉の化石よりその当時の情報を得ることができる。

また、琵琶湖は近隣周辺の貴重な水源であると同時に、東西南北の地域を水路で結ぶ要衝であった。そして、五街道が定められた後も東海道と中山道が琵琶湖を経由しており、陸上交通が発達した後も人間と物資の拠点となっている。

琵琶湖を学ぶ博物館、から一歩進める

琵琶湖博物館は、1996年に烏丸からすま半島の湖のほとり設けられており、琵琶湖とそこに暮らす人間の関わりを研究し展示している。

博物館というと、学術標本や解説などを展示し、来館者の興味や関心を喚起する情報を提示し学んでもらうことに目が向けられる。しかし琵琶湖博物館は、学べる場所であることは当然として、観光的な来館者に加え、琵琶湖を母なる湖として親しむ住民が、足しげく通って「使える」博物館を目指している。実際の動物の骨や剥製の制作を体感するためキツネやタヌキなどの生物の皮に直接触れたり、動物の発する匂いの体験もできる。

総務部企画調整課長 統括学芸員 芳賀 裕樹 氏は、琵琶湖博物館の取り組みに関して、「展示物を遠巻きに眺める従来のスタイルから、博物館に足を運んでこそ得られる体験を提供することが学芸員の願いです」と、琵琶湖博物館に在籍する20名以上の学芸員(資料の収集・展示・調査研究などを行う研究者)の思いを語った。

総務部企画調整課 課長 統括学芸員 芳賀 裕樹 氏総務部企画調整課 課長 統括学芸員 芳賀 裕樹 氏

総務部企画調整課 課長
統括学芸員
芳賀 裕樹 氏

事業部資料活用係 主任学芸員 林 竜馬 氏は、博物館での研究活動に関して、「大学での研究は自分の興味関心のためには最適な環境だと思うが、博物館においては私が発見した感動を、来館する多くの方と共有できることが何よりもうれしい」と語るように、来館者に自然を理解し好きになってほしいという想いが詰まっている。

事業部資料活用係 主任学芸員 林 竜馬 氏事業部資料活用係 主任学芸員 林 竜馬 氏

事業部資料活用係
主任学芸員
林 竜馬 氏

多くの方に琵琶湖を伝えるチャレンジ

琵琶湖の希少な自然環境を多くの方に知り、体験していただきたいという想いから、琵琶湖博物館では次の方々にも焦点を当てた。

  • 海外渡航者
  • 子供
  • 障がい者

一般の来館者は、通常の展示とパネルで十分に内容を理解することができる。しかし、上に挙げた方々には十分とは言えない。

滋賀県立琵琶湖博物館

外国からの来館者の多くは、日本語が理解できないだけでなく、英語であっても理解できない方もいるため、可能な限り多くの言語で解説したい。しかし、広大な博物館の建物内には、膨大な展示物があり、他国語のガイドパネルを設置するスペースがない。

「琵琶湖を知っていただくために、できる限り詳しい情報をお伝えしたいが、現実には各展示室の入り口に案内を出すのが精いっぱいで、残念に思っていました」と芳賀氏は語る。

また、博物館の展示は、自然環境、人々の暮らし、琵琶湖、そして水族展示などに分かれているが、これまでに膨大な展示内容は来館者に一様の興味を引くように配置することは困難だ。例えば子供が興味を持ちそうなルートで展示を巡ってもらうというガイドも難しかった。

そして、展示物が中心の博物館において、障がい者の方に対する情報提供は最も大きなチャレンジだ。点字での解説や手で触れて楽しめる展示を増やしているが、提供できる情報量に限界があった。

スマホを使った音声ガイドが登場

2016年、開館20周年となるリニューアルにより、「C展示室」と「水族展示室」をオープンすると同時に、スマートフォンを活用した音声ガイド「びわ博ナビ」を開発し、提供を開始した。

びわ博ナビでは、来館者が持参したスマートフォン、もしくは琵琶湖博物館で貸し出されるスマートフォンにアプリをダウンロードして利用する。

びわ博ナビびわ博ナビ

琵琶湖博物館では、以前より音声再生機があったが、多言語対応や障がい者の使い勝手、情報の更新性に課題があり、それらの課題を解決するために取り組んだのがびわ博ナビだ。

びわ博ナビでは、スマートフォンに搭載されているBluetooth LEと呼ばれる近距離無線通信を使用している。びわ博ナビを実行しながら展示室を歩き、音声ガイドが提供されるエリアに近付くと、バイブレーションとともに自動的にガイド音声が流れる。そのエリアから遠ざかると音声は消え、次のガイドエリアで別のガイド音声を聴くことができる。これにより、障がい者が展示位置を知ることなく、詳細な説明を聞くことができる。

びわ博ナビびわ博ナビ

またびわ博ナビは、7か国語に対応しており、多くの来館者が母国語を選択して音声ガイドを聴くことができるよう配慮されている。

また、びわ博ナビでは、スマートフォンを利用している利点として、子供や大人など来館者の趣向に合わせ、関心の高い展示を巡ることができるおすすめコースも選択することができるなど、工夫が凝らされているとともに、ガイドのテキストの修正も容易に行えるよう工夫され、新鮮な情報を提供することができる。

林氏は、びわ博ナビについて、「20周年のリニューアルでラックとともに開発を進め、ビーコンの位置決めや解説する展示の決定など大変な部分も多かったのですが、ようやく多くの来館者の方に喜んでもらえるユニバーサルデザインの展示になったと思います」と語る。

芳賀氏は、「びわ博ナビの導入により、展示の滞在時間や回遊経路など、来館者の動向がわかり大変に参考になっています。お客様の関心の濃淡を把握し、今後の改善に活かせます」と、喜ばれている。

琵琶湖博物館は、今後も屋外展示のリニューアルを進めるなど、世界に誇る古代湖琵琶湖のほとりで、多くの方に自然の偉大さと人間のすばらしさを伝道する取り組みを続けてゆく。

導入事例のダウンロードはこちらから

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お客様プロフィール

滋賀県立琵琶湖博物館様

滋賀県立琵琶湖博物館

琵琶湖を感じて、共に考えるミュージアム

びわ博(びわはく)では、琵琶湖の価値を伝え、みんなで湖と人の共存関係を考えるための材料と機会を提供しています。そのために、調査研究、資料の収集・整理・保存活動を行い、その成果を展示・講座・観察会などを通して広く紹介しています。

https://www.biwahaku.jp/

導入サービスのご案内

詳細は、サービスページをご覧ください。

「スマホ音声ガイド」サービス

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