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2024年 社長年頭挨拶

新年あけましておめでとうございます。平素より格別のご理解を賜り厚く御礼申し上げます。年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。

小学生が、2023年を象徴する漢字として選んだのは「楽」でした。ようやくマスクから解放され、思う存分遊べるようになったことは、子どもにとって大きな喜びだったのですね。一方、大人を含めた全体として選ばれた2023年の漢字は、ご存じの通り「税」です。2位は「暑」、3位は「戦」でした。また、企業が選んだ2023年の漢字は、上位から順に「変」「耐」「忍」とのこと。「猛暑の中、変革に迫られ、耐え忍んだ」のだとすると、どうやら、大人はあまり楽しくなかったようです。ただし、大人はつらかったけれど子どもは楽しかったのであれば、それはそれでよかったと言えるかもしれません。

私が予想していた2023年の漢字は「生」です。名著『君たちはどう生きるか』と同名の映画が話題になり、生きるという普遍的なテーマを人々が意識するきっかけになりました。突如出現したと言っていい生成AIサービス「ChatGPT」は、あっという間に様々な分野で使われるようになりました。12月に、ラックが生成AIをセキュアに利用できるようにする「生成AI社内活用支援サービス」を発表したところ、大きな反響を呼びました。多くの企業が、生成AIへの期待と情報漏えいなどのセキュリティ不安の間を揺れ動いていることを実感しました。13年前、ビジネスにおいてスマートフォンの重要性が高まる中で、セキュリティをボトルネックにしてはいけないという使命感から、スマートフォンの安全な利用を図り普及を促進するための団体として、一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会が設立されました。ラックは生成AIでも、テクノロジーを安全に利用できるようにするという同じ思いを持ちながら、企業のビジネスを支えていきたいと思います。

さて、いよいよ2024年の幕が開けました。1つ心に引っ掛かっていることがあります。ここ数年、医療機関へのランサムウェア攻撃が頻発し、データを暗号化されてしまう事件が起きています。病院がデータを閲覧できなくなったことを「病院の記憶喪失」と表現した記事もありました。

記憶と言えば、病院に限りませんが、喪失してはいけない記憶があります。私が特に強く覚えている事件があります。1つは2004年に起きた大手通信企業の顧客情報漏えい事件、もう1つは2014年の通信教育大手企業による大規模な顧客情報漏えい事件です。そして、ほぼ10年が経過した2023年10月、大手通信企業子会社による大規模な個人情報流出事件が起きてしまいました。多くの企業において、一度は安全な仕組みを構築できたとしても、組織の異動などの変化を経験するうちに過去の苦い記憶が失われる傾向があります。そこに、効率化やコスト削減の要請があると、重要にもかかわらず、一見ムダに見えるような仕組みを取り払うような動きが出てきてしまいます。

例えば、以前発生したATMでの不正出金事件では、原因として、システム保守において不正出金に必要なものが全て手に入る環境で業務を行っていたとの報道もありました。当初は一人では犯行に至らないように厳重に管理を行っていたものと推測しますが、コスト削減への要請などで、忘れ去られてしまったのかもしれません。それは、まさに企業や組織に起きる記憶喪失のからくりとも言えます。

企業や組織が、過去の記憶を持ち続け、学びを継続できるようにすることも、2024年も変わらずラックの存在価値であると考えています。

さいごに、今年は能登半島地震、羽田空港での航空機衝突事故と立て続けに大きな衝撃に見舞われスタートしました。亡くなられた方へのご冥福と、被災された方々へのお見舞い、並びに、そういう中、身を挺して活動された方々へ感謝を致します。一方、ネットでは一部フェイクや便乗する投稿も溢れ、本来、人や社会の一助になるべきテクノロジーの悪用や利己的濫用も目立っておりました。私たちが掲げる、たしかなテクノロジーで「信じられる社会」を築くため、本年も真摯に活動してまいります。

株式会社ラック
代表取締役社長 西本 逸郎

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