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自治体と進めるDXの実証実験「デジタルツールで発達に障がいのある子どもの支援の現場をつなぐ」レポート【前半】

新規事業開発部、地域創生事業室でデザイナーをしている今田三貴子です。
地域ならではの課題をデジタル技術の活用で解決し、地域の暮らしを守る取り組みをしております。「安心・安全」で、豊かな地域を作る活動に繋がるよう、小さなことからコツコツと動いています。

今回は大阪府豊中市との取り組みで、「デジタルツールで支援の現場を繋ぎ、切れ目なく子どもの発達をサポートしたい!」のプロジェクトの様子をレポートします。

なぜこのプロジェクトに参加をしたのか?

「デジタルツールで支援の現場を繋ぎ、切れ目なく子どもの発達をサポートしたい!」というプロジェクトは、子どもの発達支援の現場で、子どもの育ちや発達状況をデジタルで情報共有することを目的とした支援ツールを開発するものです。

プロジェクトに参加したきっかけは、「Urban Innovation JAPAN」というオープンイノベーション・プラットフォームに、大阪府豊中市が公募を出していることを知ったからです。Urban Innovation JAPANでは、日本全国の自治体の課題と、スタートアップ・民間企業をマッチングし課題解決とビジネスの成長の両立を目指しています。

About | Urban Innovation JAPAN

応募の動機としては3つありました。

1つ目は、私は前職で療育施設を運営する企業に勤務していたため、療育施設の仕組みが理解できることです。
療育施設は普段どのように運営され、どのような課題を抱えているか具体的にイメージできる強みがあります。

2つ目は、さまざまな地域・自治体にとって「ラック」という企業を認知してほしいと考えたためです。
新規事業開発部の大きな役割・目的として、「街を守る」というミッションがあります。そのためには、全国で人口が減りつつある地域それぞれを活気ある豊かな街にしたい。地域の抱える課題を解決する一手として、自治体や地域の事業者、ラックが連携していくことが必要だと考えています。

そして、3つ目は、まだまだ日本は発達に障がいのある人への理解が進んでいないと感じているからです。
障がいがあってもなくても、生きづらさを感じることはありますが、「私には関係ない」という壁を、テクノロジーとデザインという手段で、「共に暮らす人同士の、互いへの理解」が進めばと思いました。

Urban Innovation JAPANのコンセプトは、「より良い社会をつくるために、テクノロジーができることは、もっとたくさんあるはずだ。」です。より良い社会のために、ラックだからこそできることがあるはずと信じて応募しました。

「発達に障がいのある子どもにとっての、最適な支援」を目指すサービスへ

書類審査のあと2次面談があり、豊中市の創造改革課とこども相談課、Urban Innovation JAPANの事務局の担当者とお話ししました。豊中市の現状の課題としては、発達障がいがある子どもの保護者や学校、こども園・保育園(所)、通所支援事業所などが必要な支援情報を現場で共有できていない課題があるとのこと。その結果、進学の際に的確な情報共有が困難になり、学校生活などの集団生活で生きづらさを感じる子どもや保護者が多いそうです。そこで、まずは現状使用されている「支援手帳」という紙媒体から、ウェブアプリなどのサービスで情報共有をし、現状の課題を解決できないかと伺いました。

私たちがまずお伝えしたことは、ラックがセキュリティ企業のパイオニアであり、官民関わらずさまざまな企業で多岐にわたるセキュリティシステム開発、保守・運用を行なっていること。さらに、新規事業開発部には開発者とデザイナーが在籍するため、密にコミュニケーションを取りながら、UIとUXの開発を進められるということをお話ししました。

また、4ヶ月という短い期間の実証実験のため、本物の個人情報データではなくデモデータを使いながら、今ある課題に対して「関係各所と子どもの情報共有が円滑にできるサービスにする」というゴールを定めました。ヒアリング、デザイン、実装、改善というサイクルを短期間でできるだけ繰り返しながら、徐々に正解へと繋げていくというスタイルで実証実験を行っていくイメージです。

そして数日後、採択通知が届きました!

Figmaとノーコードツールを使ってテンポよく実装

いよいよプロジェクト開始です。Urban Innovation JAPANから、自治体と企業が連携してプロジェクトを行っていく際に必要なポイントがまとめられた資料と、インセプションデッキが送られてきました。さらに、このプロジェクトの主旨やスケジュール、お互いの優先したいこと、これまでの事例などを用いて説明されたお互いが留意するべき点などを共有するオリエンテーションを実施しました。関わる人が多いプロジェクトには極めて重要な作業で、とてもありがたかったです。

そして早速、要件定義に入るため、週1回の定例ミーティングが開催されることになりました。プロジェクト当初から、小学校や支援機関である療育施設にヒアリングしながら進めることになっていたのですが、視覚的に何にもない状態で「どうですか?」という質問をしては、返ってくる回答の質が違ってくるため、ある程度は自治体が必要だと想定する要件を反映したインターフェイスを作ることにしました。

定例ミーティングで学校や支援機関である療育施設にヒアリングをする様子

流れとしては、自治体と対話し、インターフェイスのデザインツール「Figma」にてUIモックアップの実装。自治体が確認し、コメント等を反映して改善、チェックという流れで要件を決めていきました。ある程度構成が固まってきたところで、ラックの開発担当者と連携を始め、実際にサービスを使用する際のイメージがつきやすいようにノーコードツール(bubble)でプロトタイプを実装していきました。

週に一度のミーティングで、自治体・デザイナー・開発者それぞれの役割の人が必要な機能を整理し、より使いやすいインターフェイスとは何か、必要なこと・必要でないこと、開発できる・できないをオンタイムで相談しあっています。また、質問や意見もFigma上で行い、コメントをバックしてもらっています。分業ではあるのですが、視覚的に見ながらオンラインで共有できることもあり、とてもテンポよく必要な要件が固めることができ、スピード感を持って第一弾のモックアップの実装を進められました。

初回面談で感じたこと

いよいよ、児童発達支援事業サービスへの初回訪問の日がやってきました。
初回面談時では、プロジェクトの全体の方向性としての第三者(児童発達支援事業者)からの所感をメインに、以下の項目をヒアリングしました。

  • 共有すること自体に不満や改善点はあるか
  • デジタルで共有できるとしたらどんなことが共有したいか
  • デジタルツールになった場合の負担感は?
児童発達支援事業者と対面でプロジェクトの全体の方向を確認

総合的には、自治体が感じていた課題感とかけ離れていませんでした。学校・支援機関・保護者の三者間の連携、特に学校や通園施設と保護者の情報共有が難しいという実態があり、このサービスの実証実験をしてみる意義はありそうだとなりました。

興味深い話としては、そもそも「児童発達支援事業=学童」と思っている学校関係者が多いとのことです。発達に障がいのある子どもや保護者、支援事業所が感じている実態と、学校側が認識している実態とには乖離が大きいなと感じました。また、支援事業所にも、ITを全く導入していない機関もあるそうで、そういった事業所にも私たちのサービスを使ってもらうためには、ITリテラシーの有無の幅も考慮して、実装していく必要があることがわかりました。

最後に

いよいよこれから、実装について関係各所ヒアリング結果を受け、さらなるブラッシュアップを重ねていきます。

次回、後半のLAC WATCHでは、プロトタイプをどう変えたのか、どのような改善を行なったのか、4ヶ月の実証実験のゴールをどう迎えたのかなどをお伝えしたいと思いますのでお楽しみに。

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