「シリアスゲーム」を活用した、セキュリティ人材育成へのチャレンジ

第2回 シリアスゲームジャム

皆さんは「シリアスゲーム」というものをご存じでしょうか?
シリアスゲームとは、いわゆる「ゲーム」のように楽しみの追求を目的としたものではなく、プレイすることにより例えば教育や学習のように実世界における効果を得ることを目的としたものです。例えば、脳の活動を活発にする「脳トレ」、継続的学習をサポートするための「得点力学習DS」、そしてアメリカ陸軍の理解促進を狙う「アメリカズアーミー」等が知られています。

このたびラック本社オフィスで、このシリアスゲームの開発コンテスト「第2回 シリアスゲームジャム」が行われ、45名にも及ぶ大学生が集まり、ゲーム制作の技術と、柔らかな頭が作り出すアイディアをぶつけ合いました。

シリアスゲームジャムでは、コンテストに参加する開発者グループが、ある決まったテーマについてアイディアを企画化し、優れた企画が実際に開発するステージに上がり、最終的に最優秀作品が決定するものです。
今回のテーマは、「サイバーセキュリティに関する人材育成」で、42個もの企画が応募され、6個のアイディアが最終的にゲーム開発のステージに進みました。

日本大学 生産工学部 の古市昌一教授

第2回 シリアスゲームジャム実行委員であり、実行委員長の日本大学 生産工学部 の古市昌一教授は、会の冒頭でシリアスゲームについて
「日本は世界的にもトップクラスのゲーム産業を擁しているのに、まだ“ゲームの力”を活かしきれていない。我々の社会には様々な解決すべき課題があるが、ITの利用者、提供者ともにサイバーセキュリティ対策の知識と対処能力を高めることが不可欠だと考えられ、こういった人材育成に“ゲームの力”が効果を発揮するのではないか。」と説明されました。

6月29日、ラックのオフィスには、6つのアイディアを企画したチームが集まり、ゲームの開発を行いました。ゲーム開発最後の追い込みにむけ、みなさん気合いが入っています。

会場の様子

学生の皆さんは、開発中は脇目も振らず集中されています。

ゲーム開発中の様子ゲーム開発中の様子
ゲーム開発中の様子ゲーム開発中の様子

都合二日間の開発を終え、いよいよ開発したシリアスゲームを披露するときが来ました。
最後の追い込みでは、みなさん必死の表情で開発をしているのが印象的でした。

今回制作されたシリアスゲームを紹介します。
発表順は、くじ引きで決まります(笑)

Security Growth

これは、いわゆる育成ゲームと言われるもので、彼女と4週間一緒に暮らす中で、セキュリティを学ぶというもの。イケメン、カワイイなど、心ときめく相手と学習すると意欲が高まるだろうという狙いです。
ミニゲームが3種類あり、彼女の機嫌を取るためにデートしたりして暮らしますが、その途中でセキュリティの問題が発生し、あまりに被害を受けると彼女が記憶喪失になってしまうのだそう。
育成を通して、セキュリティの脅威を理解することができるゲームです。

Security GrowthSecurity Growth

The マルチタスキング ~判断一瞬駆除数日~

日々の業務をマルチタスクでこなしていてもセキュリティはしっかり、ということを学べるゲーム。
業務として、“文字入れ替え”、“間違いさがし”、“神経衰弱”、“線結び”という4つのミニゲームを行いますが、そのすべてがサイバーセキュリティに関連するものです。
ゲーム(業務)をするだけではなく、その時に話題になった言葉に関して、会社に報告をすることで学習効果を高める工夫もされています。
ミニゲームを進めると時間が進み、ライフを残して失敗せずにゲームをクリアすると、残業しなくても家に帰れるという風刺も。
日常、会社で行われる業務、報告、会議を通して、セキュリティを学ぶことができるゲームです。

The マルチタスキング~判断一瞬駆除数日~The マルチタスキング~判断一瞬駆除数日~

セキュリティナイト

小学生が30分で学べる、というコンセプトのRPGゲーム。村人から敵を倒すヒントを手に入れて戦います。
面白いのは戦闘の方法。勇者からは攻撃はせず、敵からの攻撃をプロテクトすることで攻撃を跳ね返して敵にダメージを与えるというもの。敵の攻撃はサイバーセキュリティの攻撃。攻撃を跳ね返す方法はセキュリティ対策となっています。
クリアタイム、迎撃率、村人の悩み解決など、プレイ状況が成績となっています。
制作チームは、ゲームの緊張感あるストーリーで興味をわかせ、クリアした時の達成感を味わうことで学習効果を高めたいと語っていました。
このチームのもう一つの特徴は、特徴あるモンスター。セキュリティの脅威を模したもので、今すぐキャラクター化できそうなものがたくさんありました。

セキュリティナイト

成り上がり物語 ~サイバーセキュリティの知識でエラクなれました~

メールを仕分けしながらセキュリティを学ぶというコンセプトのゲームです。
メール処理をして役職を上げるというもので、メール処理の中にセキュリティに関する知識が含まれており、知識を得たら模試をうけ昇格します。
会社のパソコンでサイバー攻撃を受けてしまうと、蟹工船行き(!)になるといシニカルな側面も(笑)
主に標的型攻撃など、メールを介して行われる攻撃への対処方法を学ぶものです。

成り上がり物語 ~サイバーセキュリティの知識でエラクなれました~成り上がり物語 ~サイバーセキュリティの知識でエラクなれました~

め~るぼくじょう物語

こちらも、メール仕分けがコンセプトですが、目標が牧場を発展させるという点にあります。
標的型メール対策を学びたい中高生に向け、牧場育成ゲームを行いながら知識をつけることができるものです。
動物のエサはメール。安全でおいしいメールで繁殖が進みますが、ウイルスメールなどを食べさせると病気になってしまいます。育った動物を“出荷”することでお金を稼ぎ、施設を強化し、よりレアな動物を育てられるようになるというもの。
攻撃メールの判別は、添付ファイル、送信元アドレス、文面など、いくつか標的型攻撃の特徴を抑えています。
秀逸なグラフィックとともに、完成度が高かったゲームです。

め~るぼくじょう物語め~るぼくじょう物語

TMP ~疑似出会い系サイト~

迷惑メールを開くとどうなるか、を体験できるゲーム。実際に世の中に流れているスパムメールを題材に、それらが送られたときにどう行動するかを学べるゲームです。ゲームする方の性別に合わせ男性版、女性版が分かれているところが面白いアイディアです。
ゲームをはじめると、来たメールを開いたり、送られてきた画像を見たりするとお金が減る。お金を減らさないことが目的。。。これは何を狙ったゲームなのか(笑)しかし、興味をそそられる内容でもあります。

TMP ~疑似出会い系サイト~TMP ~疑似出会い系サイト~

発表に当たり、機材トラブルなども頻発し、みな四苦八苦でアイディアと制作したゲームの紹介をしてくれました。学生の柔らかな頭が作り出すアイディアを聞き、大変勉強になりました。

さて、全員の発表が終わり、19名もの審査員による投票が行われ、結果発表が行われました。

結果発表の様子

敢闘賞は、マルチタスキング。
仕事の一日をすべてこの中に表現されていて、会社員がゲームをプレイしても違和感がないのでは、という意見も出たそうです。

敢闘賞を獲得したマルチタスキング敢闘賞を獲得したマルチタスキング

優秀賞は、2件ありました。

セキュリティナイトは、一番制作者が多いチームで、4校のインターカレッジチームとなっていた。構成メンバーも1-2年が多く、これからに期待できるチームです。

優秀賞を獲得したセキュリティナイト優秀賞を獲得したセキュリティナイト

Security Growth
キャラクターの完成度、システムとしての統合され方、ゲーム性など素晴らしい出来でした。

優秀賞を獲得したSecurity Growth

最優秀賞は、め~るぼくじょう物語。
グラフィックがきれい。ゲーム性の良さ。明確な目的がクリアに伝わった。メールを餌にするというアイディアも面白い。ぜひ実用化に向けて作りこみをしてほしいと、審査員からも声がかけられています。

最優秀賞を獲得しため~るぼくじょう物語

最後に総評として、今回のシリアスゲームジャムの実行委員の皆さんから寸評がありました。

東京工科大 三上先生
完璧な制作は時間が短いこともあり難しくても、学習効果を目的としたゲームを作りたいという意欲を感じた。公開できるよう今後のつくりこみを期待したい。

東京工科大 岸本先生
すごいよかった。セキュリティゲームを作れたのは本当にすばらしい。今回は個人で参加した人がいるが、そういった方は来年は他の生徒とチームを組んで学校として参加をしてくれるとよいと思う。

防衛大学校 井手先生
とかく人はストライクゾーンを抑えようとするのだが、ゲームにおいてはそれを超えるということの大切に気付かされました。また、セキュリティを文字で理解するのではなく、イメージで理解することも重要なんだ、と再認識できました。

シリアスゲームジャムの取り組みは、これからも続きますが、今回の制作でハッキリと言えることは、若い大学生たちが、サイバーセキュリティに関して真剣に勉強し、重要さを理解してくれたことが一番の収穫だったかもしれない、ラックとしては、そのように思っています。


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