2011年半ばにテレビはアナログ放送が終了し、地上波デジタル放送になる。テレビやチューナーの買い替えを検討している方も多いだろう。時期を同じくして、2011年にはネットワークの世界ではIPアドレスが足りなくなり、枯渇してしまう問題が持ち上がっている。
我々が普段利用しているIPアドレスはIPv4というプロトコルである。IANAという組織がIPアドレスを管理しているが、2011年10月には、IANAが管理しているIPアドレスがなくなってしまい、IPアドレスを割り振ることができなくなってしまうと言われている。
IPv4を延命するための技術として、ISPのLSN(Large Scale NAT)という技術が注目されている。しかしLSNには一部のアプリケーションが正常に動作しなくなってしまう、ネットワークの品質が低下してしまう、利用者の特定が難しくなってしまうといった問題がある。
そのため、長期的にはIPv4の次世代プロトコルとして作られたIPv6へ対応し、IPv4とIPv6の両方の通信ができるように備えておくほうが良い。
通常、イーサネットのLANケーブルを無線LANに替えたとしても、ブラウザ等のアプリケーションに変更を加える必要はない。これは、通信モデルとして、極力一部の層を変更したとしても影響を受けないよう設計されているからである。しかし、IPv4をIPv6へ入れ替えた場合、IPv4を前提としたアプリケーションは変更が必要となる。例えば、下図のようにIPアドレスを指定するアプリケーションが問題となりやすい。

IPv4のIPアドレスは10進法で「192.000.002.001」のように表現されるが、IPv6のIPアドレスは16進法で「2001:0db8:cafe:babe:0001:9393:0fee:4649」のように表現されるため、図1の状態ではIPv6のIPアドレスを入力することができない。
また、データベースのテーブル設計も問題となりやすい。IPv6のIPアドレスはIPv4のIPアドレスよりも長い文字数を必要とする。そのため、既存のデータベースのIPアドレス格納部分の文字数を超えてしまい、正しくIPアドレスの格納ができない可能性がある。
以上のように、IP層を取り替えればそれでアプリケーションが即、IPv6対応になるわけではない。直接IP層を想定している箇所全てのチェックが必要となる。そのため、企業としてIPv6に対応するためには、事前に運用を想定した充分な検証が必要である。
IPv4のみの運用を行う場合においても、ユーザが認識していないIPv6による通信が行われる可能性がある。IPv6は仕様上、特別なIPアドレスを自動で設定する機能があり、ネットワーク上で近いマシンと通信できる。そして、Windows Vista以降やMac OS X 10.2以降は標準でIPv6が有効になっている。
このため、IPv4ネットワークを前提としていても、IPv6のネットワークが「裏のネットワーク」として機能してしまい、セキュリティ上の問題となる可能性がある。IPv6を使わない選択をしたとしても、IPv6通信には注意が必要である。
2011年4月頃からISPの対応により一般家庭でIPv6が使えるようになり始める。今すぐにIPv6対応とする必要はないが、IPv4の枯渇と、一般家庭のIPv6の普及に備え、あらかじめ今から検証を行い、スムーズに対応できる準備を行っておくことが望ましい。





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